福岡の海辺を選んだ理由

ー ワタベさんは東京から福岡に移住してIターン起業されましたね。その背景や経緯を教えて頂けますか?

僕は長野県松本市の出身ですが、親が転勤族だったので3年に1回くらいの頻度で引っ越しを繰り返していました。長野の後は、新潟、栃木、山形、横浜、東京と住む場所が変わっていったんですよね。なので、地元らしい地元がなく、知らない土地に移住すること自体に抵抗がなかったです。一番長かったのは東京で、大学進学のタイミングで引っ越して、その後9年間住んでいました。

ー 東京ではスタートアップを経営されていましたね。当時、スタートアップ経営者の飲み会でワタベさんと同席させて頂いた記憶があります。

そうですね。東京でスタートアップの立ち上げをやって、その後フリーランスとして働いていました。ただ、東京で多くの経験ができた一方、もともと東京出身ではないので、街の規模感や人の多さが、自分には合わないとも思っていました。フリーランス、特に制作系の仕事をしている状況であれば住む場所は東京でなくてもいいですし。

それで、どこか他に良い場所はないかなって探していたんですが、最終的に福岡と京都と沖縄で迷っていました。その中でも、福岡は住環境に関して総じてレベルが高かったんですよね。一定数IT企業があって、空港が近いし、家賃は安いし、ご飯もおいしい。非の打ちどころがなかったんです。「じゃあ福岡に行こう」と決めたのが2013年末のことです。

ー そしてウミーベを創業されたわけですが、まさに社名の通り海辺にある素敵なオフィスですね。

釣りの事業をやると決めた頃から、海辺にオフィスを置こうと決めてたんです。それで、会社名を「ウミーベ」にしました。弊社がある今宿は福岡の郊外ですが、天神(福岡の都心部)のあたりにも海はあるんです。でもそんなにキレイじゃないんですよね。なので天神から電車で通える範囲で、海もある程度綺麗で、駅から海岸線が近い場所を探したら、それが今オフィスがある今宿駅だったんです。Googleマップの航空写真で探して決めました(笑)。


Company main umeebe

オフィスの立地で会社を差別化

ー まさに会社名と事業内容を体現したオフィスを選ばれたわけですね。僕が初めてウミーベという会社を知った時、とても印象的だったことを覚えています。

こういう発想に至ったのは、自分がもともと広告系のデザインやプロモーションが好きだったことの影響が大きいと思います。僕は「会社も一つのコンテンツ」だと思っていて、サービスやプロダクトだけでなく、会社のビジョンから、それを体現するオフィスの環境まで筋が通っていることが重要だと考えているんです。これはそのひとつひとつを魅力的に伝えるためですね。

ー 非常に説得力のある戦略ですね。且つ、都心から海が近い福岡だからこそできることですね。東京では難しそうです。

悪いことではないですが、東京で成功したベンチャーは、都内の一等地のビルに引っ越して、オフィスの中にビリヤード台を置いたり、バスケットゴールを置いたりして差別化しますよね。外部環境が変わらないので、オフィスの内装に費用をかけて差別化する方向に向います。でも、海辺にオフィスを構えたらコストをかけずに話題性が得られる。なにせ、「海はタダ」ですから(笑)。

ー 「海はタダ」、それは名言ですね(笑)

そう、「海はタダ」なんですよ(笑)。スタートアップの創業初期では資金が限られているので、「タダだけどバリューがあるもの」をいかに活用できるかは非常に重要です。その意味で、釣り事業を展開する会社が「海辺にオフィス」を置くというのは、決して間違ってなかったと思います。

それに加えて、このオフィスの坪単価は東京の四分の一から五分の一ほどです。一方で、立地が理由で、東京のスタートアップよりも評価額が低いということもありません。調達した資金を使う効率を考えるとメリットもなくはないんです。

ー 資本効率の観点でも正しい戦略ですね。それに、この海辺のオフィスには毎日出社したくなります。従業員満足度の観点でも素晴らしいです。

最近「ウミーベ食堂」という企画も始めました。スタッフが釣ってきた魚をオフィスで調理して、みんなで食べるだけなんですけど(笑)。採用広報としてInstagramやTwitterで公式アカウントの運用も始めました。そういえば、これも原価タダですね(笑)。


Company sub3 umeebe

ー めっちゃ美味しそう・・

今も冷凍庫に真鯛が入ってますよ(笑)。

海辺のオフィスが採用・広報にも有利な理由

ー 海を見渡せる海辺のオフィスに、新鮮な海鮮をつかった食堂ですか。事業内容と海辺の立地というコンセプトを最大限活かされてますね。ウミーベで働きたくなりました(笑)。

ありがとうございます(笑)。なにせこういう立地なので、ウミーベがどういう会社なのか、しっかり発信していく必要があるなと思ってるんです。「東京でベンチャーやってます。エンジニアを募集してます」って言っても、同じような会社はいくらでもある。大手と採用の条件面のみで競争をしても、太刀打ちできるわけがありません。事業内容も含め、明確に他と差別化された要素があるというのは強みにしていきたいですね。

ー 採用だけでなく広報でも強みになりますね。

そうですね、取材していただきやすいのは感じていますし、それが海辺にオフィスを構えた狙いの一つです。「こういう環境で釣りの事業をやっていて、自分たちで釣った魚をみんなで食べてます」って話すだけで企業文化が伝わる。なんなら写真だけでも十分に。むしろ、非言語のほうが上手く伝わるくらいかもしれません。

釣り事業に取り組む意義

ー 今宿駅からウミーベのオフィスに向かって数分も歩けば、海が目の前に開けてきて、青い海、波の音と潮風を五感で感じられますね。ウミーベの企業文化や事業内容がリアルな感覚で伝わってきます。

やはりフィジカルな体験に勝るものはないですよね。どれだけオンラインサービスやVRなどが普及しても、なかなか越えられない壁かなと思います。

最近フェスが流行っていたり、グランピングが流行っていたり、この流れは必然かなと思うんです。一度インターネットの普及でバーチャルに思いっきり振れたトレンドから揺り戻しがきてますよね。「人間にとってここが適度だよね」っていうポイントに向いてるベクトルを感じます。その中で、釣りって大きな領域だと思うんですよね。

ー 釣り人口ってそんなに多いんですね。

アウトドアレジャーの中でトップクラスなんです。日本全国、海に行けばどこでもできるレジャーですからね。関連消費も活発です。ただ、他の娯楽と比較して、「ダサい」「クサい」「難しい」など、イメージがあまり良くない部分もある。そんな「釣りの課題」を解消していきましょうというのがウミーベのミッションですね。

ー 市場が大きくて課題も多いんですね。それはある意味チャンスですね。

本当にそうです。釣りを知らない人ってまずいないですよね。これってすごいことなんです。何事もまず認知を取るのが大変なのに、釣りは全国民が知っていて、やってみたい人が結構いるんです。

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会社情報

所在地福岡市西区今宿駅前 1-15-18 マリブ今宿シーサイドテラス5階
設立年月2014年8月
社員数12名
関連業界メディア/レジャー
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