はじめに

自治体に特化したサービスを展開する株式会社ホープ代表取締役社長兼CEO 時津氏のインタビューをお送りします。

株式会社ホープは、2005年に福岡で創業。自治体が持つ遊休スペースを広告枠化し、収益化することで財政難の課題を持つ自治体向けに財源確保支援を行っています。

2016年には東証マザーズと福証Q-Boardに同時上場。2022年に売上100億円(2018年度比で4倍)のチャレンジングな目標を掲げ、急成長を志向し続けるベンチャー企業です。

少子高齢化、人口減少などの社会課題に直面する中で、自治体を通じて人々に新たな価値を提供するという、非常に画期的で且つ、公共性と社会性の高い事業を展開されています。

そんな株式会社ホープについて、代表である時津社長ご自身に経営理念や組織論、人材にかける想いを語って頂きました。ぜひ御覧ください。

自治体の財源を確保する価値

ーー 本日はよろしくお願いします。YOUTURNは地方で課題解決に挑むベンチャー企業と、東京から移住を希望する課題解決人材のマッチング事業を運営しています。ホープ社はまさにYOUTURNが貢献したいど真ん中の事業を展開されていますので、今日はとても楽しみにしてきました。

株式会社ホープ代表取締役社長兼CEO 時津氏(以下、時津) こちらこそよろしくお願いします。

ーー ホープ社は、自治体の財源確保を支援するさまざまなサービスを提供されていますね。地方創生の文脈で非常に意義深い事業ですが、どういった想いで展開されているのでしょうか?

時津 地方自治体は日本の中枢ですよね。世界的に見ると高齢化社会で、日本は先進事例の一番手です。高齢化のみならず多くの課題が山積する中で、世の中や自治体の変化に対して、当社が一瞬の起爆剤でもいいし、片鱗を見せられたら幸せだと思っています。

当社は自治体の遊休スペースを活用した広告事業などを通じて、これまで累計で50億円以上の財源を自治体に確保してきました。それには絶対に何らかの意義があるだろうと思っています。

ーー 自治体へ冊子を無料寄贈したり、授乳室を設置する取り組みもされていますね。ディスプレイ広告で収益化して財源を確保するという、画期的な取り組みですね。

時津 ありがとうございます。先日、とある自治体に伺ったときに、当社が作成している「子育てガイドブック」を使っているお母さんを初めて実際に拝見したんですよ。私は自分がそのガイドブックをつくっている社長だとは名乗らずに、「そのガイドブックいかがですか?」と尋ねると、「使いやすいですよ。持ち運びしやすいし。」って、ポジティブに褒めてくれたんですよね。

「上の子のときには置いてなかったので不便でした」と言われたときは、やっぱりこの事業には意味があるなと実感しました。こういう何気ない一瞬だけど、便利だねって思っていただける価値を提供できるのは、当社らしいなと思いますし、私は好きですね。

ーー とても印象的なエピソードですね。ホープ社と取引のある全国の自治体でそういったシーンが見られると思うと、本当に社会性の高い事業を展開されていると感じます。

「成長」に対するこだわり

ーー では次に、ホープ社の経営理念について伺いたいと思います。

時津 経営理念は、ミッション・ビジョン・バリューと言われるものですが、基本的には経営トップがどこを向くのかというものだと思います。

当社の経営理念は、「自治体を通じて人々に新たな価値を提供し、会社及び従業員の成長を追求する」です。私たちのセンターピンは自治体です。そして、その先にいる人々に何かほっこりするようなサービス、こういうのがあってよかったねと思っていただける価値を提供する会社でありたいと思っています。

そして、「会社及び従業員」と、会社を従業員よりも先に置いています。やはり絶対軸は会社の成長です。だから、それに共感できない場合は、当社には合わないと思うんですよね。それぐらい魂を込めて作り上げた理念ですし、私自身の大きな判断軸の一つになっています。

実は、経営理念は一度つくり変えているんですよ。以前の経営理念では「全従業員の幸せを実現する」という文言が入っていたのですが、会社の規模が大きくなるにつれてビジョンへの共感度が低い社員が出てきたときに、「全従業員の幸せを実現する」というのは責任が持てないと思ったんですよね。

ーー 『ビジョナリーカンパニー2』の「誰をバスに乗せるか」の話ですね。

時津 『ビジョナリーカンパニー2』は大好きな本です。職業選択の自由で、仕事は「この指とまれ」じゃないですか。とまりたい人は相思相愛でいいですが、そうではない人に無理にとまってもらう必要はない。それはその人達が悪いわけではなくて、合うか合わないかの話です。そして、当社が何のために存在しているかというと、私はやはり成長が全て。成長を追及したいんです。

売上100億円への道筋

ーー ホープ社の成長に対するこだわりを象徴的に示すものとして、「2022年 売上100億円」という目標がありますね。これは今期の売上見込みの4倍。非常にチャレンジングな目標です。

時津 売上とは、お客様の「ありがとう」の総和だと思っているので、強いこだわりがあるんですよ。なので、トップラインが伸びないことに対する抵抗感がすごくあります。

また、上場するずっと前から、上場の先にある目標を探していました。私の経営者としての役割は、ミッション・ビジョン・バリューを定めたり、会社の方向性を決めたりすることです。そのときに、売上100億円というのは分かりやすいなと思ったんですよね。北極星のように、そこに向かって行くぞと。

私は、世の中に必要とされる会社の最低基準が売上100億円だと思っているので、お客様の「ありがとう」の総和として売上100億円をつくれるような会社にしようと決めました。決めた後は楽なんですよね。これを達成させるためにはどういうマイルストーンで、どういう時間軸で何をしていけばいいのかが逆算で見えてくるものです。

ーー この「2022年 売上100億円」の目標を設定した当時の売上規模はどれぐらいだったんですか?

時津 目標を決めたのは2012年なので約5億円ぐらいですね。

ーー 今の規模から比べれば100億円って4倍ぐらいの規模ですが、その当時は20倍ですか・・

時津 20倍はちょっときついですよね(笑)。私は自分を追い込んで奮い立たせるタイプなので、えいやで決めたんです。

100億円までの達成の道筋が見えないときが一番苦しかったですよ。道筋が見えたり、イメージが湧いたりすれば、ほぼ叶ってくるものです。それまでが本当に苦しかったですね。

ただ、会社が成長するにつれて、より道筋がクリアになってきています。

ーー 今では、ある程度の道筋というか、こうすれば売上100億円を達成できるなというイメージが見えているということですか?

時津 それは結構クリアに見えていますね。来期、2019年度が終わればよりクリアになっていると思いますよ。

ーー それがどんな道筋なのか教えていただけますか?

時津 一つは、既存の広告事業で大体30〜40億円ぐらいはつくれると考えています。当社は「自治体の広告会社」とよく言われるのですが、広告はあくまで事業ポートフォリオの一つです。

もう一つは、新規事業です。4年前から社長室に新規事業開発チームをつくりました。そこで開発しているいくつかの事業が芽吹きはじめています。

ーー その一つが、今年3月に開始された自治体の財源確保を目的とした電力小売事業ですね。

時津 そうですね。他にもいくつか走っていて、事業ポートフォリオを増やしていきたいと思っています。事業ポートフォリオを増やすことってすごく難しいんですよね。でも、当社は幸いなことに収益の柱となる事業がいくつかあります。新卒含めて成長意欲の高い人材が入社して活躍してくれているので、私ひとりの力では達成できないことでも、人や事業を掛け合わせて、新しい事業をつくって行こうと思っています。ここ数年は新規事業にコミットしていますね。

(後編へ)第2創業期は変化を起こせる人材にチャンス

会社情報

所在地福岡市中央区薬院1-14-5 MG薬院ビル7F
設立年月2005年2月
従業員数178名
関連業界自治体の課題解決ビジネス
urlhttps://www.zaigenkakuho.com/
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