中国で感じたタオバオの衝撃

— 田中さん、本日はよろしくお願いします。サムライバイヤーは、非常に成長性の高い越境EC事業を展開されていますね。まず、創業の経緯を教えてください。

僕は大学を卒業して大阪のIT企業に就職して、その後半導体の会社に転職しました。28歳の時に当時の同僚と一緒に立ち上げた会社で、EC事業に参入しました。当初は国内企業のEC部門を請け負う事業を運営していたのですが、その後、同様の事業を展開する企業が増え始め、国内EC市場にも閉塞感が出てきました。

そのような状況で、新たな事業展開を模索していたときに、仕事で中国に行く機会があったのですが、そこで中国に急成長しているECサイトがあると知りました。楽天の10倍の規模のタオバオです。これはすごいぞと思いましたね。

— 国内のEC市場に閉塞感を感じていた中で、タオバオに活路を見いだしたと。

そうですね。日本国内で販売するより、絶対にタオバオで販売するほうが伸びしろがあると直感しました。当時(2010年)は、タオバオもまだ発展途上で、急成長している最中だったので、まだまだ参入するチャンスはあるなと思ったんです。

当時はコンサルタントとしてクライアントに提案することを事業としていたので、「中国向けに販売すれば、絶対に売れるからやりましょうよ」と訴えました。しかし、先方の社内での展開に時間がかかり、話が進まず、もどかしさを感じていました。だったら、自分たちで販売してみようということになったんです。

最初に取り扱った商品は、日本のエステや美容院でしか買えない専売品です。それらの美容商材を中国向けに自分たちで売り始めました。ドラッグストアなどの一般流通にはない業務用の商品で、利幅も大きく設定してあるんですよね。これが結構売れたんです。

— 「日本の商材を中国で販売するチャンスがあるだろう」という見込みが、まさに当たったわけですね。

ただ問題があって、商品を売ったら人民元で入金されるんですが、商品の仕入れ先には日本円で払うんですね。人民元は移動の自由度がなく、海外に自由に持ち出しができない。この問題にどう対処すべきかを考える必要がありました。初めは香港に送金・両替してから日本に送金していたんですが、これでは追いつかなかったんです。

— かなりの手間がかかりますしね。

考え抜いた結果、「ならば逆のことをやればいいんだ」と気づいたんです。「人民元を払って日本円をもらう事業をやればいいんだ」と。それで、タオバオ代理購入を始めたんです。そうしたら順調に事業が回り始めました。

— 企業や個人の代わりにタオバオで商品を購入する事業を始めたということですね。それは、顧客にとってどんなメリットがあるんでしょうか?

代理購入の4つのメリット

日本企業のメリットは4つあります。「中国語でコミュニケーションする必要がない」、「支払いなどの商習慣の違いを気にする必要がない」、「大量仕入れを活かした配送価格の優位性」、「粗悪品を当社が事前に検品すること」です。

— なるほど。それは大きなメリットですね。

はい。海外ECサイトの代理購入には明確な顧客メリットがあります。大手企業もこの領域はニッチなので参入してこないんです。このサービスを伸ばしていけば、事業として柱になると思いました。

その後も新規事業を模索していたんですが、ある知人に「今どういったビジネスが伸びているか教えてくれ」と聞いたんです。そしたら、「それは田中さんの事業と逆だよ」と教えてもらいました。つまり、日本の商品を世界に販売する事業が伸びていると。

— 日本の商材を世界に販売すると。当初の事業と同じベクトルに戻ったわけですね。

いろいろと数字などを調べてみたら、他社も同様の事業を始めていて非常に伸びていました。僕らは「中国から日本に向けて」の代理購入をやっていたので、「日本から世界に向けて」という逆のビジネスも同じノウハウでできるだろうという自信がありました。ただ、立ち上げにはシステム開発やプロモーションにお金がかかるので、何人かのエンジェル投資家から出資してもらって事業を始めました。その事業が「SAMURAI BUYER」です。

— 非常に力強い創業ストーリーですね。ビジネスでの実体験とノウハウを礎にされています。

プラットフォーマーとしてサービスを開始

— それまで手がけていた代理購入事業と「SAMURAI BUYER」とで大きく異なる点は何でしょうか?

最も大きく異なるのは、僕らがプラットフォーマーとして事業を運営するという点ですね。どこかのECプラットフォームに出店して販売していく事業は薄利ですし、どうしても経営がプラットフォームに依存します。例えば、「Amazonの規約に違反したら明日から閉店です」みたいなことが起こり得るわけです。そういった依存体質の経営は嫌だなと思っていました。であれば、自らプラットフォームをつくって、そこに投資したほうが将来性があるなと思ったんです。もちろん、その方がお金がかかりますが。

— 投資に見合うリターンが見込めると思ったわけですね。

そうですね。そして、2015年11月11日に「SAMURAI BUYER」のサービスリリースしました。11月11日は中国では独身の日で、それにあわせてリリースしたかったんです。ただ、リリース当初のサイトは日本語版で、主に日本人の海外駐在員向けのサービスですね。その2か月後に英語版、そのさらに2か月後に中国語版をリリースしました。

— けっこうなスピード感ですね。数カ月以内に矢継ぎ早に多言語展開して。

とにかくまずリリースしないと始まらないですからね。まずリリースすることを優先して、その後に機能追加をしていきました。

【次へ】「海外のYouTuberが日本の商品をPR」(2/3)

会社情報

所在地福岡県福岡市中央区大名2-10-1 A-411
設立年月2015年5月
社員数8名
関連業界EC・通販
urlhttp://samuraibuyer.jp/ng/ja_jp/
詳しい会社概要はこちら