「代表取締役への転職」は、課題だらけでもがく日々。それでも、変化のある環境のやりがい

私の移住転職ストーリー
06/28/2024 更新

「キャリアを“考えてきた”のではなく、ワクワクする気持ちの赴くままに進んでいった結果、気づけばキャリアが“できていた”」これまでのキャリアについてこう振り返る峯野さんは、2024年1月、面白法人カヤックのグループ企業である株式会社八女流の代表取締役に就任しました。

同社は、循環型林業モデルの構築のため設立された福岡県八女市にある地域商社です。東京の釣具メーカーや宮崎のアグリテックスタートアップなどを経て、峯野さんはどのようにして新天地での挑戦のきっかけを掴んだのでしょうか。

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設計職を6年経験して「人と接する仕事がしたい」と思うように

——峯野さんは熊本の大学・大学院で機械工学を専攻された後に、東京都内の釣具メーカーへ入社されています。このキャリア選択の背景について、詳しく教えていただけますか。

新卒の就職活動では、もともと大学院の推薦で大手建設機械メーカーへ行こうと応募していたのですが、自分の趣味でもあった釣りに関わる会社も受けてみたいと、軽い気持ちで釣具メーカーの説明会に参加しました。友人と一緒に東京へ行って選考を受けるとトントン拍子で進み、なぜか私だけが内定をもらったんです。

親には、キャリア、年収、今後の将来を鑑みた上で、「本当にその選択で良いのか?」と聞かれたこともありましたが、大学時代にさまざまな国を訪れたことで生き方の多様性を知り、もっと主体的に自分の人生を選んでいきたいと、その釣具メーカーへ入社することを決断しました。

入社後は、設計開発のチームへ配属。6年間そのチームで働くなかで、自分の設計した釣具が形になる面白さを感じる一方、図面を描く作業は性に合わず、また周りの人たちのようにものづくりへの強いこだわりを持てないことにも気づきました。むしろ、展示会でお客様と接する機会のほうが楽しく感じ、もっと人と関わる仕事がしたいと思い始めたんです。そこで、転職を視野に入れるようになりました。

——そこからは、どのように転職活動を進められたのでしょうか。

もっと家族と過ごす時間が欲しいという思いもあり、生活に重きを置いたワークスタイルが実現できそうな佐賀にある半導体メーカーの事業所に転職先を決めていました。しかしながら、この計画は白紙に。単身になったこともあって、もっとリスクのあることにチャレンジしようと考え直しました。

実は、もともと海外で生活してみたいとも考えていたので、30歳の節目でニュージーランドへワーキングホリデーに行こうと思い、準備を始めました。ところがコロナ禍でそれも頓挫。1年ほどは福岡でコールセンターのアルバイトをしながら、方向性を探っていました。

そこで知ったのが、YOUTURNでした。

設計職としてのキャリア構築を勧められるも、スタートアップに挑戦

——その後、YOUTURNを通して宮崎のアグリテックを手掛けるスタートアップに転職されました。宮崎は縁のない土地だったそうですが、そこに対する抵抗はありませんでしたか。

むしろ東京のような都会での生活は自分には合わないと感じていて、自然の近くで暮らしたいという思いが強く、まったく抵抗はありませんでした。昔から、転勤族で新しい土地に身を置く機会が多く、その経験が自分の人生をより良くしていると感じていたので、縁のない土地に飛び込むことはむしろポジティブでした。

——転職先としてアグリテックベンチャーを選んだ理由を教えてください。

マーケティングや営業の仕事に興味があり、他のエージェントのアドバイザーにも相談していたのですが、設計職としてのキャリアを積んでいくことを勧められました。年収が下がることを危惧されたり、今までのキャリアを無駄にしてしまうと言われたり……。

唯一私のキャリアチェンジの話を面白がって、一緒に可能性を探ってくれたのがYOUTURNの高尾さんでした。

高尾さんから紹介されたアグリテックベンチャーについては、ロボットの技術を活用して「100年先も持続可能な農業を実現する」というビジョンに惹かれましたし、いったん製造部門で働いた後にキャリアチェンジの相談の機会がもらえるということだったので、入社を決めました。

——そこではどのような仕事を担当されていたのですか。

入社当初は、会社の業務に慣れるためにロボットのことを勉強していましたが、2ヶ月後、社長から「マーケティングがやりたいんだよね?」と聞かれ、経営企画部に異動することが決まったんです。

最初は知財戦略の仕事から始まりました。知財戦略では、社内の技術シーズをヒアリングし、事業戦略に沿った形で特許を出願していくことが求められます。弁理士の方とも連携しながら、経営に貢献できる知財ポートフォリオの構築を目指しました。

並行して、展示会への出展企画や広報資料の作成、営業同行など、対外的なコミュニケーションにも携わっていくようになりました。エンジニアとの社内調整を担いながら、経営層の意向を汲み取って具体的なアクションに落とし込む。こうした経営と現場の橋渡し役としての仕事が中心でしたね。

経営方針に疑問を感じたことで浮かび上がった「自分で事業をやる」という選択肢

——2年ほど在籍された後に退職され、八女流の代表取締役に就任されました。思い切った決断のように感じますが、その経緯について伺えますか。

退職を考えたきっかけは、プロダクトの技術力を加速させていきたいという自分の思いと、会社の経営方針とにズレを感じるようになったことでした。

そこで出てきた選択肢が、独立という道でした。経営方針に疑問を感じる一方で、経営者にしか見えない世界観があることも理解できたからです。であれば、まずは自分自身で小さく事業を回す経験をしてみてはどうか、と。

そうした考えを高尾さんに話したところ、「どうせやるんだったら、スケール大きくやったほうがいいんじゃない?」というアドバイスとともに、八女流で代表取締役を募集しているという情報を教えていただきました。

ただ、私は個人事業主として独立しようと考えていたので、人を雇って事業を行うということへの不安があり、自分は経営者になれるのだろうか、と悩みました。逃げ道をつくるために、他のスタートアップの選考も受けていたんです。

——最終的に八女流の代表取締役という意思決定をされたポイントはどこにありましたか。

いちばんワクワクを感じられる選択肢だったということに尽きます。信頼している高尾さんから紹介されたというのも大きかったですね。

会社を変化させていくことの苦しさと楽しさ

——代表取締役としての仕事はいかがですか。

前職では経営企画部に所属していましたが、実質的には経営をしていたわけではないので、PL/BSのような考え方は当初理解できていませんでした。もともと経営状況が苦しい会社だったため、そこをどう立て直していくかという観点も求められます。

親会社のカヤックからフィードバックを受けつつ、本当にもがきながら仕事をしているという感覚です。でも、楽しいです。

——どんなところに楽しみを感じられているのでしょうか。

私は変化している状況や環境に楽しみを感じるタイプなんだと思います。もちろん、苦しさもありますけどね。

——まさに今、八女流という会社を峯野さんが変えている最中にあると思います。どのような部分を変えていこうとされていますか。

クライアントを含めた社外の方々との対話の部分です。前職でも感じていましたが、1次産業は現場の方々とのコミュニケーションが非常に重要です。論理だけでは成り立たない業界で、仲良くなれば何か新しいことが始まるというケースも多くあります。

そこをうまくやれるのは私の強みだと思っているので、会社としても強化していきたい領域です。ただ、いきなり信頼してもらえるとはもちろん考えていません。この業界の知見についてはまだ勉強しているところなので、地道に対話を続けていくつもりです。

——現在課題に感じられていることはありますか。

会社の成長という観点では、矢印としては上を向いていると思うのですが、その角度が足りていないことに焦りを感じています。ゴールから逆算して考えると、まだまだ加速度が足りません。この課題を乗り越える方法論を見つけるために、日々頭を悩ませています。

YOUTURNだけが、キャリアチェンジの可能性を信じて一緒に道を切り拓いてくれた

——転職活動時に他のエージェントも利用していた峯野さんから見て、YOUTURNのよさはどこにありましたか。

他のエージェントがキャリアの選択肢に制限をかけようとしているのに対し、YOUTURNの高尾さんは私の可能性を信じて、一緒に道を切り拓いてくれました。

特に印象に残っているのが、高尾さんに今後のキャリアについて相談したときに「峯野さんはキャリアなんて考えていないでしょう?」と言ってくれたことです。確かにこれまでを振り返ってみると「こういうキャリアを歩みたいからこうしよう」ではなく、自分がワクワクする気持ちの赴くままに進んでいったら、結果としてキャリアができていました。

「峯野さんって、石と石の間にはまる砂みたいな人だよね」と言ってもらえたこともよく覚えています。確かに私は、専門性を突き詰めたり、自分が主役になったりするよりも、全体がうまく進むように橋渡し役としての動きができるところに強みがあるように思います。

こうした私のバックグラウンドや強みを汲み取りながら、長期的なキャリア形成を一緒に考えてくれる。そんな伴走者としての高尾さんの存在に大きな安心感を抱きました。

また、彼自身もYOUTURNの代表として、まさに日々戦われていると思います。経営者の先輩にチャレンジの背中を押してもらえたことに、心強さを感じました。

——最後に、峯野さんの今後の展望をお聞かせください。

私には苦手なことがたくさんあるので、周りからの助けが必要です。代表取締役はただの役割でしかないと思っています。自身の強みを活かしながらもメンバーの力を借りながら、事業を成長させていければと考えています。

<編集後記>

峯野さんの言葉に触れ、人生の節目で自分の "ワクワク" に素直に従うことの大切さを改めて感じました。前例のないキャリアを選び取ることは勇気のいることですが、それこそが自分らしい人生を切り拓くために必要不可欠なのだと教えられた気がします。

八女流での挑戦は、まだ始まったばかり。林業従事者の方々の思いに寄り添いながら、地域に根差したビジネスをどう展開していくのか。

課題の種は尽きませんが、だからこそ面白味も際立つのでしょう。行き詰まることもあるかもしれません。それでも、自分の心に正直に生きる姿勢を貫く限り、道は開けていくはずです。

枠に捉われず、一人ひとりの可能性を信じ、長期的に伴走し続ける。YOUTURNはそんな人生の心強いパートナーを目指していきます。

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著者 YOUTURN編集部
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