YOUTURNが「GOOD AGENT AWARD」大賞!自分らしいキャリアのきっかけをつくる「問い」のチカラ
人材紹介サービスや求人サイトが当たり前に存在する現在は、転職活動自体の難易度は高くありません。そんな中、人材紹介エージェントの存在意義を自分たちで再認識し、共有していくイベントがリクルートキャリア主催の「GOOD AGENT AWARD」。2019年には10回目を迎え、300を超えるエントリーから選ばれたYOUTURN取締役の高尾含む5名が2019年11月14日大賞を競いました。
そして、栄えある大賞に輝いたのが高尾。大手ITベンチャー子会社役員のUターン転職をサポートした事例をもとに、これからの時代に求められるキャリアコンサルタントの介在価値を紹介。その結果、大賞のみならずオーディエンス賞とのW受賞。
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「エージェントにはまだやれることがある」
ーープレゼンテーションの中で一番伝えたかったことはどんなことでしょうか。
一言で言うなら、「人材紹介エージェントにはまだまだやれることがある」ということです。時代の流れで私たちの存在意義が薄れてきていると言われることもありますが、今こそ私たちがやるべきこと・できることがあると思っています。
――今、人材紹介業界は高尾さんからどのように見えているのですか?
我々の業界に限らずではありますが、人材紹介エージェントも候補者のキャリアに寄り添う行動よりも、時には会社の売上のために、少し強引に転職の斡旋をしなくてはいけないケースが珍しくありません。
候補者のキャリア形成に向けて役に立つ仕事をしたいと思って業界に飛び込んできた若い人たちが、この仕事の意義を見失ってしまう姿をよく見かけます。
結果として、この業界を数年で辞めてしまう人も多く、10年以上のキャリアを持つコンサルタントやアドバイザーが少ないのが現状です。これを何とか変えていきたいという思いがあります。
また、我々エージェントの転職候補者への介在の仕方そのものが変わってきています。これまでは転職候補者は、キャリアアップを実現できる会社、例えば大企業や外資企業、コンサルファームに転職するために、目標達成する伴走者としてエージェントを活用していました。
みんなが年収や役職など画一的なキャリアを目指していて、その攻略法を知っているのがエージェントだったのです。しかし、今の時代は目指しているゴールが多様化しているため、まずは相談に来た方のキャリアゴール設定から始まる場合が多いですね。
――キャリアの多様化とは具体的にどういうことでしょうか?
例えば以前は、多くの仕事をする人にとって大企業が集まる「東京」で「正社員」になることが一般的なゴールでした。しかし今は、仕事が好きでも地方を選択する方もいれば、フリーランスや業務委託など正社員以外の雇用形態を選択する方も珍しくありません。
働く意味においても、以前は「お金を稼ぐため」が一般的だったと思います。しかし今は、お金よりも「やりがい」や「生活との両立」といった価値観を重視する方が増えています。エージェントには相談者の望む生き方を理解し、実現に向けてサポートすることが求めらていると、私は考えています。
ーー「いい会社への入り方を教える仕事」から「その人らしい生き方を一緒に実現する仕事」に変わってきているということですね。
はい。しかし、今は時代の過渡期なので、以前の価値観への引力も強く働きます。周りが選んでいない選択肢を選ぶ時は、大きな不安や葛藤に直面するはずです。そういった求職者に寄り添って、本当にその人らしい生き方を実現させるのがこれからのエージェントの仕事。
ソーシャルメディアが発達し、様々な転職サービスも現れて「エージェントの仕事はないんじゃないか」と思っている人は、業界の中にも転職者の中にもいると思いますが、そんなことはありません。
これからの時代だからこそ、エージェントが価値を発揮できる場面は増えていきます。
仕事への熱量が高くこだわりがあるならエージェントを
ーーエージェントに登録する方の中には「面談は要らないから求人や企業だけ紹介して」と言う方もいますよね。
まず、仕事に対して熱心でこだわりがある方こそ、エージェントを活用した方がいいでしょう。たとえば洋服に感心のない方は、ファストファッションでサイズだけ見て服を買いますよね。機能としての衣服を選ぶという思考です。
一方でファッションを「自己表現の手段」と考えている方は、店員さんなどに相談しながら買いますし、提案されるのも心地いいはずです。セレクトショップに訪れる人たちは、信頼している店員さんに自分が探すことができない洋服を選んでもらい、薦めてもらう体験を求めています。
私たちYOUTURNもセレクトショップのように、福岡の魅力的な企業をご紹介していけるように日々取り組んでいます。
ーー仕事を「自己表現の手段」と思っている方は、エージェントに相談した方がいいと。
そうです。仕事を「お金を稼ぐ手段」と捉えている方は、一番給料のいい仕事を選べばいいので簡単です。しかし「自己表現の手段」と考えると、自分で考え、キャリアや企業を選ぶこともできますが、エージェントに力を借りてまだ見ぬ自分の強みを考えることも損はないと思います。私たちと話すことで価値観を見つめ直し、仕事に求めていることが明確になっていく方々をたくさん見てきました。
ーー仕事に求めているものって、例えばどんなものがあるんでしょう?
十人十色ですが、大雑把に分類すれば「どこでやるか」「何をやるか」「誰とやるか」に分けられます。
「どこでやるか」は、会社にいることで得られる特権みたいなもの。給料や場所、福利厚生などはわかりやすいですが、安定した大企業に在籍すれば、大きな買い物をする際に銀行からお金を借りやすくなるとか、社会的なステータスという意味も含まれます。
「何をやるか」は、事業に納得して取り組めるかです。やりがいを仕事に求めている方などが当てはまります。
最後は「誰とやるか」。たとえば経営者のビジョンや意思決定への共感、現場で一緒に働く管理職やマネージャーとの人間的な相性を大事にする人が該当します。
ーーでは自分が仕事に求めているものが分かれば、納得のいく転職ができる可能性が高まるのですね。
そうですね。ただし、同じ人でもタイミングによって仕事に求めることは変わります。先に紹介した3つも、どれも仕事を選ぶのに大切なことですが、タイミングによって優先順位が変わるものです。
そのため、転職の度に自分が仕事に求めることを明確にしていく必要があります。
自分らしいキャリアを考えるきっかけを与えるYOUTURNのキャリア面談
ーーこれから高尾さんに相談に来る方に、約束できることはありますか。
難しい質問ですね(笑)。「自分らしいキャリアを自分で考える、そのスタート地点に連れていくこと」ではないでしょうか。実際のところ、私とたった一回話したからと言って、「自分らしいキャリア」が固まるとは言えませんが、考え始めるきっかけにはなるはずです。
ーー「自分らしいキャリア」については悩んでいる読者も多いと思います。
これは私なりの考えですが、自分らしいキャリアは「生きていくための仕事」ではなく「自分を活かすための仕事」。
過去、私が転職をサポートしてきた方は、過去のキャリアの中で自ら仕事を作っていく人が多いですね。会社や上司に言われたことだけではなく、自分を活かすために自分で仕事を作るのです。
――行動力が求められますね。
行動のために必要なことって「自己確信度」、つまり自分の考えや価値観に自信を持つことです。逆に言えば、人から否定されて萎縮してしまうと行動できません。面談中の私は、周りがやりすぎだと思うほど、相談に来た方を肯定しているようです。
私たちとの面談を通じて自己確信度が上がって、結果的に行動力に繋がるのだと思います。
本音を語ってもらう「問い」のチカラ。人生の転機にするYOUTURNのキャリア面談
ーー高尾さんがYOUTURNの面談で意識していることについても教えて下さい。
質の高い「問い」を投げかけることです。それによって候補者に気づきを与え、内省を促すことを意識しています。人が気付きを得る瞬間は、総じて自分が持っていない観点に気づいた時です。「その視点で考えたことなかった」と思うような問いを投げかけるようにしています。
ーーたとえばどんな質問をするんですか?
世間一般でよく言われる「あなたは何がしたいですか?」と聞いても、多くの人は答えられないか、つい思いつきを口にします。それでは本音を聞けません。
逆に「何がしたくないですか?」と聞くと、みなさん明確に答えてくれます。私たちは普段、ネガティブなことを口にするのはよくないと思って精神的にブロックをかけています。そのブロックを外すことで本音が話しやすくなるのです。
ーー確かにやりたいことより、やりたくないことを聞かれたほうが答えやすいですね。
キャリアカーバーのプレゼンテーションでも事例に挙げましたが、私は面談の時も、転職先となるパートナー企業の社長と話す時も、あえてネガティブなことを言ってもらうこともあります。「なんかしっくりこない」とモヤモヤした気持ちを言語化できるからです。
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ーー高尾さんの前では気兼ねなくネガティブなことを言って欲しいと。
はい、自分の不安なこと、悩んでいることや人間くさい部分を積極的に見せて欲しいです。私の個人的な気質でもありますが、そういった部分が見えたほうが応援したくなりますし。
ーーでも、相談者からすると高尾さんの前でネガティブなことを言ったら、転職活動に影響が出そうで怖いですよね。
確かに私を面接官だと思って、バシッとスーツを着込んで面接かのように、前向きでポジティブなことを口にする方も少なくありません。しかしながら、私はこれまで数千人のキャリア面談をしていますから、話を聞いていると本音じゃないことがわかってしまいます。
私はキャリアコンサルタントという第三者です。ネガティブなことを口に出したとしても、それを直接応募する会社に伝えたことはありません。面談の時は積極的に自己開示してもらえればと思っています。
ーーでは、自己開示が苦手な人はどうすればいいですか?
考えがまとまってなくてもいいので、まずはカジュアルに私と雑談しましょう。問いに答えていただくことで、一人では整理できない自分の考えを整理してもらえるはずです。きっと、自分の知らない自分の一面に気づけると思いますよ。
ーー気づきを与えることにこだわっているんですね。
わざわざ私に会いに来てくださるわけですから。こちらとしても、手ぶらで帰っていただくわけにはいきません。
もちろん、一度お話しただけ人生が激変するわけではありませんが、新しい視点を得ることで世界の見え方が変わっていくはずです。
「相談に来た方の人生の転機にするという覚悟」でお話しさせていただいてます。
ーー毎回の面談に覚悟を持って向き合っているんですね。最後の質問になりますが、高尾さんがこれから実現していきたいことについて教えてください。
転職エージェントを憧れの仕事にすることです。私一人でできることはたかが知れているので、自分が15年の活動の中で得た知見や経験を共有していきたいと思っています。「GOOD AGENT AWARD」に参加したのもその一環です。
私の背中を見てエージェントに憧れる人が増えるような仕事をしたいですね。そのためにYOUTURNをもっと成長させることが直近の目標です。
終わりに
YOUTURNのキャリアコンサルタントたちは、相談者へ正解を教えるのではなく「質の高い問いを投げかけること」を大切にしています。内省を促し、あくまで相談者自身が答えを見つけるサポートをするだけ。
仕事に熱意があり、こだわりがある方こそYOUTURNのキャリア面談を通じて自己確信力を高め、自分を活かすためのキャリアチェンジを実現していただきたいと思います。