福岡にしかない新しいカルチャーを。
世界の都市をつなぐコミュニティの可能性
私たちは、国内外に展開するコワーキング事業と、映像、グラフィクデザイン、イベントなどのクリエイティブ制作・プロデュース事業の2つをメインに行っている会社です。どちらも町づくりをテーマに取り組んでいます。
私はアメリカに8年ほど住んでいて、世界の様々な都市に行きました。同じアメリカでも街によって文化や流行が異なり、雰囲気もまったく違います。その経験から、日本も都市ごとにもっと個性があったほうが面白いと思っています。
目標は、「これなら福岡が絶対強い」と言える何かを作ること。アジアで圧倒的に1位を取れるジャンルの創出に貢献したいと考えています。
創業当時はWeb制作やデザイン業からスタートし、その後、福岡の街のライトアップやプロジェクションマッピングなど空間演出の仕事にシフトしました。
徐々に大きなプロジェクトを手がけるようになり、複数の会社に呼びかけて事業を進めるうち、みんなが集まれるコミュニティスペースを作ろうとコワーキング事業を開始。
現在、運営しているコワーキングスペースは福岡に5拠点あります。海外にはバンコク、フィリピン、シンガポール、ベトナムなどアジアを中心に6拠点です。
単に空間をシェアするだけでなく、様々な企業とコミュニティを構築し、海外企業と地元企業をつなぐ活動を行っています。コワーキングを始めてからのミュニティの広がり方は、以前の10倍以上だと思います。
海外展開によって、出会える会社の量が飛躍的に増えていますね。またイベント制作事業では、福岡城のさくらまつりや大濠公園のライトアッププロジェクトなど、地域に根ざした催しをプロデュース。
最近ではコロナ禍により、バーチャル会議など配信系の仕事も増えています。
私はもともと、NYで映像の仕事をしていました。フリーランスで、カメラマンやディレクター、編集などを一人でやっていたんです。
ある台湾のイベントで、日本から参加していたチームの代表に「これからは一人で戦うより、集団で面白いことを作っていった方がいい」と言われ、日本で会社を作りたいと思うようになりました。
最初は東京で起業することを考えましたが、東京は大手企業との関係性やコネクションを元に会社を作るのが王道です。ベンチャーはコネがないと相当難しいと感じました。
ちょうどその頃、地方での起業が盛り上がっていたこともあり、2011年に出身地の福岡でZero-Tenを創業しました。
地場でのコネクションと海外でのコネクション、2つを持っていることです。地場では大手から小さいベンチャーまで数多くの企業とつながっていて、何か相談を受けたらすぐ合う企業を紹介できます。
福岡はアジアと距離的に近く、海外とつながりやすいことも大きな強みですね。
もう1つは、社員に海外経験者が多いことです。海外ビジネスに対して物怖じしないので、シンガポールの企業に営業したり、アメリカの会社にコンタクトを取ったりが普通にできる。
様々なバックグラウンドを持つ社員が集まって、まるで動物園みたいにバラエティ豊かな会社になっています。
今はコロナで外に行けないので、この間に福岡を徹底的に強めて、時期が来たらまた海外展開を進めようと思っています。
コワーキングThe Companyを福岡にあと3~4つ作りたいですし、アーティストがショーを開催できるようなエンターテイメントシアターを作ることも計画しています。
私自身、アートが好きでずっと触れてきたこともあり、「福岡で新たなカルチャーを作りたい」とよく言っています。今も、街のカルチャーをプロデュースしている感覚です。
福岡を活性化するために、もっと外から色んな人が来てほしい。みんなで一緒に活動する中で気づけば新しいカルチャーが生まれていた、というのが1つのゴールと考えています。
社員それぞれが独立していて個人プレイが得意な分、各自の仕事をうまくつなげる人が必要です。似ている事業をバラバラにやっていたりするので、全体を見て「こことここは組んだ方がいい」など調整できる人が欲しいですね。
福岡全体の課題としては、やはり仕事が足りていないと思います。現状、大きな仕事のほとんどは東京です。例えば、テレビや映画の撮影が毎回福岡で行われたりしだすと、仕事が生まれ人も増えます。
福岡はアジアと近いため、海外ビジネスのポテンシャルも高い。理想はアジアの人が福岡に来てものを作り出すようになることです。今後もエンタメの施設を作ったり海外アーティストを呼んだりして、そういうムードを広めてきたいと思います。
海外の都市を転々としてきた経験から、「自分を変えたい」とか「現状を変化させたい」と思った時、一番いい方法は住む場所を変えることだと感じています。場所が違えば、常識もガラッと変わります。
そうやって変化を経験する度にパワーアップしていく実感があるんですよ。
今いる場所に違和感があるなら、環境を変えることが将来的にプラスになると思うし、逆に言うとそれしか価値観や人生を変える方法はありません。迷っているなら、ぜひ福岡に来てほしいと思います。
入社以前にしていたこと
小中学校を佐賀で過ごし、アメリカの高校に進学し、NYとドイツの大学でメディア学を専攻しました。その後、NYで現代アーティスト・村上隆の事務所Kaikai Kiki New Yorkに就職。グローバルPRや取材対応など広報を担当していました。
子どもの頃からテレビ番組を作ることが夢だったため、メディア対応するより作る側に行きたいと思い、事務所を辞めフリーランスになりました。
それからはNYを拠点にTV番組、CM、映画を作る現場でコーディネーターやプロデューサーを経験。活動の場を広げ、東京でもフリーランスとして働く中、一度日本の会社も経験してみようと株式会社ドワンゴに入社。
そこでネット配信を学んだあと、再びNYに戻り、個人事務所を立ち上げを経験。全米やヨーロッパ、日本を飛び回る生活を送っていましたが、30代半ばで将来を考えたのと、実家の事情もあり日本に戻ることにしました。
東京の楽天で3年ほど動画コマースのプロデューサーとして働いた後、Zero-Tenに入社しました。
入社した理由
代表の榎本とは、10年ほど前に映画制作の現場で知り合っていました。楽天を退社後、実家に近い福岡を次の拠点として視野に入れた時、すでにZero-Tenを立ち上げていた榎本に「福岡にどんな仕事があるかな」と相談したんです。
そしたらすぐに「今、うちで人を募集してるから」と電話がかかってきました。
Zero-Tenのサイトを見てみたら、当時からプロジェクションマッピングなど新しいことをやっていて、さらに「The Company」というコワーキングで海外展開もしている。
会社がかなり成長していることに驚くと同時に、すごく面白いことをやってるなと衝撃を受けました。私もここに参加したいと思い、去年の1月に入社しました。
今、取り組んでいること
主に、クリエイティブのプロジェクトに関わっています。デザインや映像制作のほか、海外からアーティストを呼ぶためのコーディネートや、プロデュースも行います。
今は新規事業の立ち上げにも参加しています。まったく未経験の業種なので、色んな人に手伝ってもらいながら進めている感じですね。いくつものプロジェクトを同時進行して、新しいことに挑戦していくのが会社のスタイルだと思います。
Zero-Tenの根底には「クリエイティブで街を面白くする」という考えがあるんですよ。榎本と話していると、「この人なら実現できそうだ」とすごく感じるので、そこにちゃんとついていきたい。
作業は個人でやっていますが、1つの目標に向かってみんなで進んでいる感じがありますね。
入社以前にしていたこと
大学卒業後、とにかく成長できるところに就職しようと、当時モバゲーの世界展開を目指していたDeNAに入社しました。そこで、子会社のオフィス構築プロジェクトを任されたことがありました。
建築内装会社とやり取りしながらオフィス作りを経験して、「もっとリアルと接点が持てる仕事がしたい」と転職。
リクルートコミュニケーションズに入り、業務改善やBPRに関わる仕事を担当しました。そのうち、徐々に「自分でも何かやりたい」という気持ちが出てきたんです。
地方に興味を持っていたこともあり、移住希望者を集めて行われる「全国移住ドラフト会議」というイベントに参加しました。そこで日南市から1位指名を受け、宮崎県に移住しました。
日南市で空き家再生事業に関わった後、フリーランスになり、建築デザイン事務所のソフトコンテンツ設計を手伝うように。それがきっかけで地方の空間に関わる仕事がしたいと思い、Zero-Tenに入社しました。
入社した理由
宮崎でフリーでやっていくのは経済的に厳しかったため、再就職を考えていました。でも東京に戻ったら、自分が大きい会社に飲み込まれてしまうんじゃないかと思い、あえて福岡を選んだんです。
福岡の企業と色々面接する中で、Zero-Tenだけが宮崎にいた時の経験を聞いてくれました。ここなら直近の経験が役立つと確信。
Zero-Tenは福岡地所とのつながりも強く、空間や不動産関連の事業に本格的にチャレンジできそうと感じ、入社を決めました。また社内に移住者がけっこういて、外のビジネス感覚を持っている人が多かったことも決め手です。
今、取り組んでいること
現在、自社と外の知見をつなぐオープンイノベーション事業を担当しています。特に力を入れているのは、外部の会社と弊社のコワーキングThe Companyにいる入居者さんをビジネスマッチングして新規事業やプロジェクトを創出する取り組みです。
最近では、自社のPR・広報にも携わるようになりました。これから、The Companyの入居者をさらに増やすためのメディア戦略をやろうとしているところです。
Zero-Tenは若い会社ですから、大企業みたいに出る杭を打つこともなく、好きにやらせてもらっています。個人のがんばりが必要で大変な面もありますが、困った時には助けてもらえますし、いい環境で楽しく働けています。
福岡県福岡市博多区祇園町8-13 第一プリンスビル The Company1F
1,000万円
非公開
榎本二郎
2011年9月
34名
クリエイティブ/映像/イベント企画・運営
YOUTURNからのコメント
福岡に結集したグローバルなクリエイター集団!
高尾大輔
YOUTURN 取締役 キャリアコンサルタント
代表榎本さんのキャリアからも一目瞭然、日本を代表するクリエイティブ企業「株式会社Zero-Ten」。世界各国でクリエイティブ制作に携わり、その国の文化に直接触れてきたからこその「新しいカルチャー」への強い想い。
それこそが、この会社を立ち上げることになった情熱であり、エネルギーの源泉。社員の方々にお話を聞いても、同じ想いを胸に業務に取り組んでいることが伝わってきます。
株式会社Zero-Tenは、主に映像やイベント企画、ウェブ制作などのクリエイティブ分野において専門性が高い集団。一方で福岡の新しいカルチャー作りにおいては、スタートアップを中心としたコミュニティ生成にも力を入れています。
それが「The Company」というコワーキングスペースを運営する「株式会社Zero-Ten-Park」であり、福岡と、グローバルな都市を結びつける起点となる事業を展開。
Zero-Tenグループに集まっているメンバーもバイタリティに溢れ、クリエイティブというキャリアの軸はありつつも様々なバックグラウンドをお持ちでいらっしゃいます。
その中で、現時点で重要視されているポジションとしては、個の力を組織力に転換し、事業を前進させる役割を担える方とのこと。九州だけでなく、日本を代表するクリエイティブの力で、福岡を世界都市に前進させるZero-Tenグループから目が離せません。