創業65年で市場の国内シェア50%以上!
世界レベルの技術で福岡からグローバルへ
私たちは昭和31年に創業した、空調設備や冷熱関連の機械を作っている設備メーカーです。建物や飛行機などの空調・冷熱管理はもはや生活と切っても切り離せません。安定している市場で、蓄積した技術を武器に半数のシェアを占める商品を作っています。
福岡に本社を構える我々が大きなシェアを獲得できているのは、お客様のニーズにほぼ全て応えるセミオーダー対応をしているから。他社では断られるような細かい要望にも応え続けた結果、高い利益率をキープできるようになりました。
今後は、ベトナムなど東南アジアを始め、巨大市場を持つ北米・ヨーロッパへのグローバル展開を視野に入れています。
主な事業は4つあります。1つ目は、冷却塔という水を冷やす熱交換器の製造・販売です。この事業が全体の約3分の1を占め、国内シェアは約50%~60%あります。
2つ目は空調の吹き出し口と、そのダクト内部に設置されるダンパーという機械の製造。こちらも、シェア約50%と主力事業となっています。
空調機器メーカーとしては全国に6支店・2営業所を展開し、官公庁から公共施設まで多くの空調に関わっています。また、東南アジアをはじめ海外の建物にも採用されています。
3つ目は、エアコンや冷熱交換機など、三菱電機製の業務用製品を専門に販売する代理店業。4つ目は、建築の現場でプロジェクトを管理する施工管理業で、これは福岡県内で行っています。
空研工業は、1956年(昭和31年)に創業社長宅の屋根裏からスタートしました。冷熱事業を始めたきっかけは、先代が当時春日市にあった米軍基地に行った際、そこだけ夏に冷房が入っていたこと。
「日本も豊かになったら必ずこういう時代が来る」と、空調冷熱機器の取付工事を行うようになりました。メーカーに転身したのは創業の約5年後です。ある日の現場で、冷却塔を扱った時に「自分でも作れそうだ」と製造を始めたことがきっかけです。
その後もカーディーラーやボウリング場、アップルコンピュータの1次代理店など幅広い事業を手がけていました。しかし本業以外はなかなか伸びず、バブルのあおりで他の事業は全部辞めたんです。
バブル後10年ほどは負債を減らす作業をしていましたが、その後、売上がV字回復して今に至ります。
1番の強みは、ニッチな市場でシェアが取れていることです。冷却塔の市場はずっと安定していますし、競合も3~4社しかいない中で50%以上のシェアがある。吹き出し口・ダンパーの市場でも同じことが言えます。
あとは、お客様のニーズに応えるセミオーダー対応をしていることですね。創業社長からも「お客様の要望を検討せずに断るな」とずっと言われていました。
難しいオーダーであっても、いったん持ち帰って検討し、もしできない時は理由をしっかり伝えて実現できる形にしていきなさいと。その積み重ねが、今につながっていると思います。
空調冷熱業界の中で、グローバルトップになりたいです。私の代で、会社を1兆円規模まで持っていきたい。空気と温度を調整する行為は、もはやインフラといえます。今後もなくならない業界なので、ここで戦っていくつもりです。
今年の7月には、ベトナムに現地法人を作りました。ベトナムは「数十年前の日本」と言われており、将来的に同じ生活スタイルになるのは間違いありません。
まずは距離的に近い東南アジアへ打って出て、最終的には大きな市場を持つ北米とヨーロッパに進出したいと思っています。
うちはバブル後に多くの負債を抱えたところからV字回復して、今は売上が伸びている状況です。なので、社内に「現状維持でもいいんじゃないか」という空気があるんですよ。
ここから「グローバルナンバーワンになろう」と言っても、なかなかマインドセットしづらい。「今のままでも利益が出ているのに、変わる必要があるのか」と抵抗を持つ社員もいると思うんですよね。
ただ、現状維持に甘んじていると、最終的には淘汰されてしまいますから。そこは変えていく必要があると思っています。
社外への課題としては、エンドユーザーに我々の意図が伝わりにくいことです。いくらコストを下げていい商品を作っても、途中に何社も入ることにより、お客様に届くまでに金額が上がってしまいます。
今後は、エンドユーザーと直接お付き合いできるようなビジネススタイルを見つけたいと考えています。
こんなに安定した市場でシェアを取って、利益も上げていて、さらに福岡から海外へチャレンジしようとしている。うちみたいに面白い会社はないと思うんですよ(笑)。
例えばアメリカだと、ほぼ全ての州にグローバル企業があります。でも日本は、上場している大企業のほとんどが東京です。だったら、福岡からめちゃくちゃ有名な会社になりたいし、それを今からやろうとしてることが楽しいんですよ。
すでに出来上がっている組織にはない、自分たちで変えていける仕事がうちにはあるので。
一方で、人の流動性は高めて行きたいと思っています。「福岡はいいところだから来てください」と言うのと同時に、「福岡にこだわりすぎなくてもいいですよ」とも伝えたい。面白い仕事ができるなら、住む場所にこだわらない人にとって、うちは最高の環境だと思います。
福岡市中央区大濠公園2番39号
10,000万円
283億円(グループ連結2019年3月)
楢木 隆
1956年6月
341名
製造/メーカー
YOUTURNからのコメント
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進化を止めない、日本を代表する空調メーカーの挑戦
高尾大輔
YOUTURN 取締役 キャリアコンサルタント
「創業社長の屋根裏でスタートした」そんな話にアメリカの名だたるIT企業の創業秘話を思い出しました。65年の歴史を誇る空研工業は、国内トップシェアと揺るぎない技術力を携え、アジアを中心としたグローバルチャレンジに突入します。
バブル崩壊後、数多くの日本企業と同様に大変な苦労を重ねてこられ、その後見事なV字回復を実現。そんな時期を経て、主軸となる空調冷熱事業で「1兆円」を目指すと高らかに宣言された次世代を支える経営幹部たち。そこに向けた会社の課題もオープンに話してくれました。
また今後はダイレクトマーケティングを強化して、エンドユーザーと直接つながる方法も模索しているとのこと。製造業界で新規事業の経験がある方、グローバルにチャレンジしたい方、福岡から1兆円規模のグローバル企業を生み出したい方、一度お話をしましょう。