「転職はゴールじゃない」移住転職を通じて取り戻した自分の軸

私の移住転職ストーリー
07/07/2023 更新

「何のために移住転職するのか」。FCCテクノの中元さんの答えは、チャレンジしたい仕事と家族の幸せ、いずれも実現することでした。

専門スキルや経験が求められがちな転職市場に直面し、焦りを感じたときは、ご家族とのコミュニケーションを通じて基本に立ち返る。自分の軸を再認識してからの転職活動には、変化があったと言います。

自分を見つめた先に出会った会社で、経験を活かした人事の仕事に取り組んでいます。東京の大手企業から福岡のFCCテクノに移住転職した経緯を伺いました。

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人事の仕事の奥深さ

――福岡出身の中元さんは大学までを九州で過ごされ、新卒では大手メーカーに就職されています。決め手はどんな点でしたか。

高校まで福岡で育ち、熊本の大学を卒業してメーカーに就職しました。大学3年のときに参加したインターンシップがきっかけです。2週間ほど静岡の社員寮に滞在しながら人事の採用パンフレット作りを経験しました。社員の方々が、学生としてではなく一個人としてしっかり向き合ってくれたのが印象的で、人を大切にする誠実な会社だと感じて入社を決めました。

インターンシップで九州以外の企業や学生と関わりを持てたことで視野が広がり、「九州を出てもやっていけるかもしれない」と一歩が踏み出せました。


――入社後は、どんなお仕事を担当されましたか。

初めは本社の物流部門に配属されました。特に希望していた部門ではなかったんですが、私は、目の前のやるべきことに興味を持って取り組むタイプなので、楽しく仕事ができました。

商品の国内・海外向け出荷のサポート業務を3年担当した後に、東京の子会社へ出向になりました。プロダクトの国内卸販売を手がける会社です。そこで仕入品の輸入手続きや物流施策の社内推進などを3年担当し、社内異動で人事グループに移りました。


――会社全体の仕組みが理解できそうな異動ですね。

本社よりも小さな組織だったので、会社全体の流れが見えるのがよかったです。新卒・中途採用や新入社員研修の企画といった、それまでとは全く違う仕事を経験しました。

初めは大変でしたが、周囲の人に恵まれました。わからないことは聞きながらも、過去を踏襲するだけではなく、自分なりの仮説を持って変化を起こすようにしていました。人事には4年いましたね。人は千差万別で、何をやっても正解は分からないのですが、採用を通して人の人生の転機に関われることや、自分の企画で人が成長したり変化したりする姿を見るのはとても刺激的で、人事の仕事の奥深さを感じました。


――人事部門では、他にも多面的に業務を担当されましたか。

初めて後輩ができ、それまで私が担当していた採用や研修業務を引き継いで、指導役にまわりました。さらに、給与厚生の仕事や就業規則の見直し、異動や昇格の対応、メンタルヘルス関連のサポートなどを担当しました。本社よりも幅広く仕事ができたと感じます。

人事の仕事をしたことで、給与や社会保険の仕組み、労働法など、「生きていく上で大切だけれど、普段は気に留めていなかったこと」を意識するようになりましたし、視野も広がりました。他にも本社の組合活動や社会人野球チームの広報など、さまざまな経験をして社内の人脈が広がりましたね。
プライベートでは人事に所属していた時期に結婚し、2020年11月に出産して育児休業に入りました。

移住だけが目的ではなかった

――中元さんは、2020年12月にYOUTURNに会員登録されました。ご出産直後だったとは驚きました。

夫とはよく「いずれ福岡に戻りたい」とは話していたんです。出産を機に、がむしゃらにやってきた仕事から離れる時間ができて、家族や自分の未来をゆっくり考えるようになりました。

そんなときに夫が「移住転職を扱うエージェントがある」とYOUTURNを見つけたんです。当時はすぐに転職したいというよりも、「どういう求人があるのか見てみたい」ぐらいの気持ちでした。


――「福岡に戻ろう」と考えたきっかけは何ですか?

子どもが生まれたことが大きいです。夫と二人のときは、いずれ帰りたいといっても時期は具体的ではありませんでした。

東京での子育てが大変だったんです。どこへ行くにも人が多くて。遊びに行くのも綿密に計画を立てて早朝に出発し、帰り道が混む前に帰宅するとか、子どもの病院の待ち時間がすごく長いとか。日常の小さなことをストレスに感じるようになったんですね。

子どもが大きくなるにつれて友達もできるだろうし、遅くとも小学校入学前には移住しないと、子ども自身もしんどいだろうという話になり、そこをタイムリミットに設定しました。

加えて、コロナ禍で夫の仕事が「全国でフルリモート可能」になったんです。夫が転職せずに福岡に移住できるなら、私が転職すれば家族全員で移住ができる。家族のなかで、移住転職が現実的になっていきました。

これが、二人同時に転職して仕事の環境が変わるとなると、厳しかったかもしれません。二人で話し合いながら、転職と移住の考え方のベクトルを合わせていきました。


――中元さんご自身の転職先が決まり次第移住する、というお話だったのでしょうか。

移住だけが目的ではありませんでした。極端な話、私が退職すればすぐに移住はできますし、なんとかなります。でもそうではなくて、私が働くことで得られる収入や、正社員という働き方を維持したうえで福岡に戻るのが、家族にとって一番幸せだという考えでした。


――高尾と初めて面談された時の印象はいかがでしたか。

登録して間もなく面談したときに「転職を考えている」と伝えると、「まずは一度、現職で育休から復帰することをおすすめします」と高尾さんから言われました。転職活動と育休復帰が重なるのは負担が大きいから、と。

正直なところ、驚きました。転職エージェントは、仕事を紹介して成約させることがゴールだと思っていたので、「そういうことを言ってくれるのか」と。とても信頼できる方だと感じたんです。

その後、育休から復帰して間もなく高尾さんと2度目の面談をして、家庭と仕事の両立にも慣れてきた復職半年後から移住転職活動を開始しました。

突き付けられた「私の市場価値」

――移住転職活動のなかで、葛藤や迷いを感じることはありましたか。

ありましたね。前職は待遇や人間関係が良好で、私の仕事を評価してくれてもいました。いくら福岡に戻るためとはいえ、好きな会社で積み上げたキャリアを、ゼロリセットしていいのかは最後まで迷いました。前職に不満があって転職したいわけでもなかったんです。

生活面でも、東京の環境は大変だけれど、家族の暮らしそのものは安定していて穏やかでした。一歩を踏み出すタイミングは私次第だったので、アクションに移るまでに時間もかかりました。

転職活動を始めるまでは、これまでの「幅広い仕事経験」が強みになると考えていました。ところが転職市場では、ひとつの分野に特化したスペシャリストや、マネジメント経験が求められていたんです。「あれ?私の市場価値ってそんなに高くないのかな」と感じることが多々ありました。

提示される年収も厳しかったですね。東京から地方都市という点でまず下がって、私の年代でマネジメント経験がない場合はさらに下がります。他のエージェントと面談した際に、前職の半分ほどの額が目安になると言われたこともありました。

「福岡に移住転職するだけで、年収が半分になるなんて」という思いと、「もう半分でもいいから、とにかく正社員の仕事を決めなければ」という思いで、どんどん思考がずれていったんです。


――焦りによる思考の変化があった訳ですね。ターニングポイントはありましたか。

夫から「転職することだけがゴールじゃないよね」と言われて目が覚めました。私たち夫婦が実現したいのは、東京での安定した幸せな暮らしと働き方を福岡でも実現することだよね、と。移住ありきで、自分が納得いかない条件で転職するぐらいなら、スケジュールを延ばすほうがいいのではと言われました。

それで肩の荷が下りたというか、自分のゴールを見失ってはいけないと思って。自分自身の強みについても思考を整理して転職活動を再始動したところ、面接が次の段階に進むようになりました。強みを語るとき、当初は「コミュニケーション」や「信頼関係」といった、ふわっとした言葉を使っていましたが、その原点は「どんなに仕事や環境が変わっても、必ず自分のフィールドにして結果を出す、気持ちの強さと行動力」だということにたどり着きました。自分の中で納得のいく言葉を見つけてからは、少しずつ自信を持って語れるようになっていったと思います。

会社選びも、人事職の経験を活かせる仕事を中心に探しつつも、家庭生活を軸において考えていきました。まずは、無理なく家庭と仕事の両立ができるよう、柔軟な働き方ができること。そして、今後子供の事情で今のように働けなくなったとしても、仕事や働き方を自由に選べるくらいの市場価値を高める経験ができること。この2点を重視して会社を探していきました。収入面でも、東京での生活を維持できないようであれば、魅力を感じた会社でも諦める、と線引きするポイントを決めました。

「実現したい自分の姿」が認められてFCCテクノへ

――現職のFCCテクノに出会われたのは、どんなタイミングでしたか。

移住転職活動を始めて10社目ぐらいで出会いました。私が迷走していたときに、高尾さんがマスキングレジュメ(個人情報を特定できないよう内容の一部をぼかしたレジュメ)をいろんな会社に投げかけてくれて。それを目にした西村(FCCテクノ代表取締役)が、「面談したい」と声をかけてくれました。


――代表の西村さんの第一印象はいかがでしたか。

自社と社員のことを、とても好きな人なのだろうと感じました。「福岡の地で、皆が自分の力で生きていけるような会社をつくりたい」と。この会社で、人事として皆と一緒に会社を作りあげるのはとても楽しそうだと思いましたし、何より話を聴いてワクワクしました。

FCCテクノ自体が、改革期にある会社です。これまでの自分の経験よりも何段も上の仕事にチャレンジすることができれば、私自身の市場価値も高められるかもしれないと思ったんです。

そこで西村に、「選考に進みたい」と話すと、西村からは「もう内定です」と言われました。「家族で福岡に戻って幸せな生活を実現したい」という思いにストーリーを感じたと言うんです。これまでの経験やスキルだけではなく、この先に実現したい姿を評価してもらえたことが嬉しかったですね。

働き方も理解してくれました。西村は、「働く場所や時間に関して、私が口をはさむことはありません。9時に会社に来ることが仕事ではなく、会社に対してどんなバリューを出せたかが意味のあること。子育てに関してももちろん尊重します」と。私が会社を選ぶときに重視する2つの軸をどちらも満たしている会社だと感じて、FCCテクノに入社を決めたんです。

福岡で幸せに働く仲間を増やしたい

――FCCテクノでは、人事のお仕事全般を?

CEO室に所属して、採用や研修から始めました。就業規則や評価制度の見直しは、西村を含むCEO室メンバーや、Administration部のメンバーから教わりながら進めているところです。前職で経験した幅広い人事経験も活かせていて、「HRの何でも屋」になるべく日々奮闘中です。未知の領域である、自社のブランディングや人件費に関するデータベース構築にも関わっていく予定で、本当に色々な経験をさせてもらっています。


――入社前後で感じたギャップはありますか。

いい意味でのギャップは、CEO室のメンバーのレベルがとても高いことです。皆ロジカルでアウトプットの質も高く、本当に学ぶところが多いです。会社の規模でいえばFCCテクノは中小企業にあたりますが、社員の優秀さには「大企業」も「中小企業」も関係ないと感じました。会社全体が前向きで、改革を一緒にやっていこうという気運がありますね。

ただ、会社が新しいことを進めるなかで、メンバーのなかには、自分が担当している業務とのギャップを抱く人がいることもわかりました。会社が示す方向性やメッセージを、社内メンバー一人ひとりが自分事として消化できて、自らアクションを起こせるような雰囲気や環境を作っていくことが、これからの私の役目だと思っています。


――今後力を入れたい領域は?

まずは採用ですね。これまではマンパワーの問題で本格的に取り組めておらず、代表の西村が担当することもありました。

FCCテクノという会社の、認知を高める取り組みも進めたいです。スキルや経験だけでなく、「未来の自分がどうありたいか」を評価する会社であることも知ってもらいたいですね。そういった価値観がフィットする方に出会えればと思います。

社内の人事面でも、個々が尊重されて前向きに働ける、そして会社全体の成果が上がっていくような、シンプルで分かりやすい評価制度や就業規則にしていきたいです。仕事とプライベートの両立も大切なポイントのひとつですね。


――移住されて、ご家族の様子はいかがですか。

2歳半になる子どもは保育園に慣れて、動きが活発になってきました。走り回ったり歌を歌ったり。保育園で教えてもらう歌を、家でもよく歌っています。夫は自宅でテレワークをしていますが、まだ一度も「東京に帰りたい」とは言わないですね。

休日の過ごし方も変わり、1日を長く楽しめるようになりました。遊びに行ったり用事をすませたり、いろいろやっても「あれ、まだ午後3時?」となるくらい、時間の感覚にも変化がありました。QOLが上がり、福岡に戻ってきてよかったという思いしかありません。


――移住転職を振り返って、今思うことはありますか。

私のように、キャリアアップやスキルアップが主眼ではない転職もありだと感じます。自分が幸せだと感じられる生活を実現するための転職です。自分がなりたい将来の姿を描き、そのためにはどういう仕事をすればいいか。FCCテクノでも、福岡の地で自分の未来に向けたストーリーを実現させたい人を、仲間として迎え入れたいですね。仕事の内容だけでなく、それぞれの価値観も大切にしていきます。


――YOUTURNを利用された感想をお聞かせください。

「転職先を紹介して終わり」ではなく、私が目指す姿や進みたい道まで一緒に考えて伴走してくれるところが、他の転職エージェントとは根本的に違いました。時には励ましてくれるためだけの面談をセッティングしてくださったり、福岡の働くママ向け求人サイトを紹介してくださったり。エージェントという領域を超えて、私自身に寄り添って背中を押してもらいました。現在FCCテクノの採用担当としてYOUTURNと関わるなかでも、その印象は変わらないですね。本当に感謝しています。

<執筆後記>

移住転職で何を実現したいのか。焦りや迷いが生じたときも、家族とのコミュニケーションを通じてありたい姿を明確にしていった中元さん。最終的には「ここだ」と納得して移住転職を決めました。

YOUTURNでは、皆さん一人ひとりの個性や価値観と向き合った転職相談をおこなっています。福岡への移住転職をお考えなら、ぜひ一度お問い合わせください。

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著者 YOUTURN編集部
YOUTURNは、累計100名以上のハイクラス・エクゼクティブ、大都市の最前線で活躍されたビジネスパーソンの九州・福岡への移住転職を支援するエージェントです。地域特化、UIターン転職ならではフル・オーダーメイド転職支援を通じて、今世の中の求人票にはない、あなただけの求人ポジションをつくります。

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