キャリアは諦めたくない、移住もしたい。手に入れた新たなステージ

私の移住転職ストーリー
01/05/2024 更新

大企業での充実したキャリアを歩んでいた中元さんと坂本さん。移住を決意してから半年後、福岡の企業で新たなキャリアをスタートさせました。

女性の視点で感じた移住転職のハードさや苦労、今振り返って思う成功の秘訣、今後取り組みたいこと、福岡での子育て。多面的にお話を伺いました。

▼無料キャリア面談への申し込みはこちらから

スピーカー
中元曜子さん(株式会社FCCテクノ CEO室マネージャー)
2023年1月入社。CEO室マネージャーとして採用や研修・社内制度の見直し等人事領域からCIの策定、経営企画全般と、コア人材として幅広く活躍中。

坂本生民さん(株式会社ヌーラボ コミュニケーション部 部長)
2022年4月マーケティング部長として入社。2023年8月より新設のコミュニケーション部の部長に着任し、社内外の広報やソートリーダーシップをリード。

「何をやっているんだろう……」コロナ禍で価値観が一変した

左から坂本さん、中元さん

――お二人は共通して、移住前は大手企業のご所属でした。当時はどのようなお仕事に関わっていましたか。

中元さん:大手メーカーで物流の業務からスタートしました。後に、グループ会社の人事の仕事に携わりました。採用教育、給与厚生、就業規則の見直しなど、社員がスムーズに働ける環境整備を行いながら、ルーティン業務をいかに改善できるかを考えてチームをまとめていました。

坂本さん:私は大手自動車メーカーのグローバル広報部門に所属していました。転職する直前は広報企画として、対外広報や社内広報に加えて、デジタルやWebなど部署間で足並みを揃えて新車の販売・発表に向けて動けるよう、プロジェクトマネージャーのような役割も担っていました。

毎日が多忙でしたが、自分の役割や社内の仕組みは非常に整っていました。

中元さん:プラットフォームがしっかりしていて楽ではあるんですが、何かを新しく変えようとするとハードルが高かったように思います。

坂本さん:たしかに。大企業に長く勤めていると、何かを変えること自体諦めるようになったかもしれません。粛々と自分の仕事を進めるのみといった感じで。


――お二人とも、移住の一番のきっかけは新型コロナウイルス感染症拡大だったとか。

坂本さん:二人目の子どもの妊娠が分かった頃に緊急事態宣言が出て。妊娠中、育児をしながら夫婦揃って狭い家でフルリモートせざるを得ず、当時は疲れ果てていました。そんな日々を送るうちに「何をやっているんだろう……」と、夫婦で移住を考えるようになったんです。

中元さん:私も2020年の春頃に妊娠が分かり、福岡にいる親にとっては初孫でありながらコロナ禍で直接会えずじまいで。孫の成長の節目に親に会わせる機会が少ないことも、移住の大きな要因でした。

その頃、夫が全国どこでもリモートで働けるようになって。私が転職をすれば移住が実現できる状況になり、動こうと決意しました。

移住後の仕事はどうする?一度はキャリアをあきらめる覚悟も

――移住に際して、最初に取り組んだのはお仕事探しでしたか。

坂本さん:夫は福岡が地元で人脈もありますが、私は正直「どうしよう」と。長らく広報として本社機能に関わる立場でしたが、企業の本社は関東圏に集中していますから。

一旦はキャリアを諦めて、まずは子供の生活を安定させようとフリーランスで働く道も考えました。そんな時、知り合いの方からヌーラボを紹介してもらったんです。


――中元さんは、パートナーの言葉が大きかったそうですね。

中元さん:元から私が仕事を辞めることは考えておらず、転職先を決めてから計画的に移住しようという話になりました。転職活動を始める際、夫と二人で全体的な移住スケジュールを立てました。2~3ヶ月あれば会社も決まるだろう、と軽く考えていましたね。

ですが、転職活動を始めてみると、そのスケジュールがプレッシャーになってきて。家族が動くためには私が早く決めなきゃと。焦り始めていた時、夫が「期限を決めて転職活動をしてみて、いいところが見つからなければ、移住スケジュールを延ばしてこのまま東京にいたっていいんじゃない」と言ってくれたんです。納得できない条件のまま転職し移住したとしても、幸せとは限らないよねと。


――納得のいかない条件とは?

中元さん:一番は収入です。私は計画通り移住するため、とりあえず正社員として、早く仕事を決めることを重視していたんです。でも、夫が隣で家計の資産を計算し出すんですよ(笑)。私の収入が半分になったら、これを削る必要があって、もうこれは出来なくなるよね、という風に。

坂本さん:面白いけどすごいプレッシャー(笑)。

中元さん:何が家族にとって幸せなんだろうかと。気持ちを持ち直すと、不思議と選考も進んでいって。最終的には現職であるFCCテクノともう一社から内定をいただくことができました。


――移住することを決めてから、福岡の会社で働き始めるまでの期間はどれくらいでしたか。

中元さん:転職活動を経て、半年ちょっとくらいですね。

坂本さん:私も着任までに半年かかっていないくらいです。福岡へ行くと決まってからは間を空けず、ほぼ同時に現職(ヌーラボ)の人事の方に繋いでもらいました。


――お二人とも、迷いなく現職の企業に決められましたか。

坂本さん:ヌーラボからのオファーが魅力的だったこともあり、あまり迷うことなく決めました。地元企業の広報職も紹介いただいたのですが、「もしかするとすぐに辞めちゃうかも」と想像ができてしまって。何かを諦めての転職になるかもしれないなと。自身のキャリアにおいて、広報・マーケティング以外に、「グローバル展開している会社」というのが譲れない軸としてありました。


――中元さんはFCCテクノともう一社で悩まれて、最終的な決め手となったものは何でしたか。

中元さん:一番は、リモートワークなどを組み合わせて家族の時間も大事にしつつ、無理なく働けるかどうか。働き方は毎日の積み重ねであり、重要なポイントでした。

もう一社の方が規模も収入面でも上回っており、多くの人はそちらを選ぶんだろうなとも考えました。

ただ、基盤がしっかりした大手企業でキャリアを積むことは経験済みです。どうせなら、次は自分で何かを変えていくようなチャレンジをしてみたかったんです。

坂本さん:私も中元さんも実はハードな道を選んだと言えますね。

中元さん:キャリアを諦めない選択をしていますよね。たまたまいい会社に出会えて本当によかったなと。転職して良かったことは沢山あっても、嫌だったという気持ちはないです。

中元さんの移住転職ストーリーはこちら

地方で生きいきと働く女性が増えるように。一歩ずつ取り組みたい

――移住転職を実現するまで、パートナーとの考え方のすれ違いや、夫婦で足並みを揃える難しさを感じる場面はありましたか。

坂本さん:夫とは以前から仕事に関する悩みを相談し合える関係でした。同じタイミングで福岡に来て、私も夫もスタートアップで働いており、互いに戦友のような感覚ですね。

中元さん:我が家も夫は一緒に乗り越えてきたパートナーです。今の仕事はこれまでの経験よりもレベルが高く、壁打ちしてもらったりしています。移住も「ついてきてほしい」というスタンスではなく、一緒に行こうと協力して進めてきました。

坂本さん:お互いに「ついて来い」というタイプの夫ではなかったことも共通点かもしれませんね。


――お二人は2023年10月に、ヌーラボ主催のイベント「WOMEN’s Career in FUKUOKA #2」にパネリストとして登壇されました。福岡のジェンダーギャップ指数※は驚くべきものでしたが、実際に福岡の土地柄を感じることはありますか。

※共働き家庭の家事・育児に使用する時間の男女格差は、男性平均30分・女性平均4時間23分であり、47都道府県中、福岡県は47位(2022年 都道府県版ジェンダー・ギャップ指数)

中元さん:YOUTURNで開催された「家族で移住転職を果たした」方々の座談会イベントに参加したことがあるのですが、妻が仕事を辞めて夫についていくケースが多い印象でした。「奥さんの気持ちはどうだったんだろう」と気になりましたね。

坂本さん:男性起点で移住するケースが多いので、女性がワンオペになりがちだなと。IT業界ではさほどギャップを感じずにいますが、地場の会社では移住×活躍×女性はまだ少数派ではないでしょうか。

福岡に来てから「仕事しているの?大変だね」と声をかけられることが増えました。


――子育ては女性が中心というマインドがあるから、「それに加えて、仕事は大変だね」となるんですね。

中元さん:福岡だからなのか分かりませんが、子育てしながら働く周囲の女性からは、夫の帰りが遅く平日はワンオペという話をけっこう聞きます。仕事が終わってから子供が寝るまでは座っている暇もないと……。

我が家は夫がフルリモートで、早めに仕事を終えてくれるので一緒に家事育児をこなせていますが、毎日一人となると、ここまで仕事を頑張れていないように思いますし、与えられた業務をこなすことだけで精一杯になりそうです。女性自身の働き方だけでなく、男性の働き方も重要ですよね。


――働くことを前向きに楽しむ女性がもっと増えるように、取り組んでいきたいことはありますか。

坂本さん:福岡はビジネスイベントが盛んに行われているものの、女性活躍という文脈ではまだ少ないんです。スタートアップやIT、エンジニアのコミュニティの中でも、今後改善が求められる領域だと感じています。

人手不足が叫ばれていますが、まだ人口の半分の宝が眠っていると思うんです。一緒に移住して来た家族も戦力として福岡を盛り上げていかないともったいないなと。

定期的にイベントを開催したり、まずはこういう会話をできる場所から増やしていきたいです。子供の未来のためにも私自身が働く姿を見せていきたいですね。

中元さん:全ての人がキャリアを追い求めなくてもいいと思うんです。人によって最適なバランスは違うと思うので。でも、家庭と仕事、どちらにおいても自分のアイデンティティを望むのなら、チャンスを一緒に作れるようなスタンスでいたいです。

最近、学生時代の友人をパート採用したんです。仕事はしたいけれど、家族の生活も維持できるように働きたいとの希望で。将来活かせるスキルまで見据えて仕事を依頼できれば、本人が諦めかけていた次のステップにまで繋がるんじゃないかと思うんです。色んな形で支援をしていくことで、働きたい女性も増えるんじゃないかなと。


――移住転職でも女性がキャリアを諦めず、充実させる秘訣は何だと考えますか。

坂本さん:第一に、配偶者と足並みを揃えること。二人で一緒に進めていかないと、女性の移住転職は厳しいのではないかというのが正直なところです。

次に、コミュニティでの受け皿や人脈です。私みたいにIターンの場合、全く知り合いがいないことも。少しでもツテがあるなら情報収集をするなど、安心感を得られるように動くことをおすすめしたいです。

中元さん:私の場合は移住検討時に坂本さんとお話しできたことが大きかったです。自分が迷っている時はなおのこと、ママや女性など同じ切り口で話を聞けるのは心強いと思います。
X(旧Twiter)でも、同じような境遇の方をフォローして、勝手に一緒に頑張っている気になっていました(笑)。

坂本さん:現在私は主にリモートで働いていますが、移住後に自分一人で自宅で働くより、私にとっての中元さんのようにローカルの接点があるといいなと。なので中元さん、これからもたまに会ってくださいね。

中元さん:こちらこそ。福岡にそういうコミュニティができると嬉しいですね。

坂本さん:近くに知り合いがいない方は特に、仕事と家庭だけだと「なんで福岡に来たんだろう……」と考えてしまう人もいるかもしれないなと。

仕事以外の接点もやはり大事だと感じるので、そういう方々が気軽に参加できるような何かを作りたいですね。オンラインでも、リアルでも、仲間を増やしていけるような機会を作れればと思っています。

内見せずに引越し。オンスケジュールの移住は奇跡

――ご家族を伴う移住で、特に大変だったことはありますか。

坂本さん:諸々の手続き! 全てを同時期に済ませるのは避けたほうがいいです。中元さんのように、有給を活用したり引越しを先にするなど、柔軟に進めるべき。

中元さん:坂本さんはお盆休みにまとめて全部見に行かれたんですよね。

坂本さん:住む家も保育園も、ネットの情報だけでは分からないことが沢山あって。


――移住後、パートナーとの役割分担や時間の使い方に変化はありましたか。

坂本さん:二人で子供のために割く時間が増えました。車を手に入れたので、遠出して子供に色んな経験をさせられるようになって。夫も楽しんでくれています。

中元さん:私は転職と同時に時短からフルタイムになったので、夫が家事育児に関わる量は以前より増えたかもしれません。お互い、比較的柔軟に働けているので、保育園送迎での「今日はパパ、今日はママ」という子供のリクエストにもある程度対応できています。

車で出掛けても混んでいないのでのびのびできていいですね。その分時間の使い方も変わり、遊びに使える時間が増えましたし。地元は田舎なのですが、福岡市内のほうが子育て支援が充実していますし、進学も考えて、一旦市内に住むのがいいんじゃないかとの結論に至りました。

冬の引越しだったので保育園の空きは全くなく、1件だけ。オンライン見学を認めていただき、保育園を決めてからは怒涛のスピードでした。内見せずに家を決めて、引越しの日に初めて見るという。福岡は移住者が多く人気エリアはすぐに埋まってしまうんです。賃貸とはいえ、今考えると……。

坂本さん:すごい! よくやりましたよね(笑)。


――「福岡市=子育てしやすい街」と定評がありますが、住んでみていかがですか。

坂本さん:福岡はコンパクトシティの中に、子供が楽しめる場所が充実しています。公園は広い上に駐車場は無料、かつ、驚くほどの規模の遊具が身近にたくさんあるんです。

中元さん:うちはインドア派なのですが、東京だと商業施設まで遠かったのが、気軽に車で行けるようになったのはいいなと。駐車場にお金がかからないのは本当にありがたいです。

坂本さん:保育園でも保育時間中に色んな習い事を教えてくれるシステムがあるんです。スイミングやサッカー、硬筆、ひらがなをある程度書けるようにしてくれたり。少し追加料金を払うと英語や体操も教えてくれる。

週末も有効に時間を使えますし、有難くて仕方がないですね。


――行政の支援制度には満足されていますか。

坂本さん:福岡市のLINEは便利ですね。ゴミの日、子育て情報、イベント開催のお知らせ、不審者情報など様々な情報を送ってくれます。

中元さん:東京では粗大ゴミを出すためにコンビニにシールを買いに行きますよね。福岡市はLINEで決済できるんです。家で全て完結するのは有難いです。

坂本さん:案外福岡のほうがデジタル化が進んでいるのかも。

中元さん:今年の8月からは新しく「おむつと安心定期便」という制度が始まりました。育児用品から選んだものを福岡市が届けてくれる。福岡市のデジタル化と子育て支援は、力を入れているなと感じます。市政だよりがよく家に届きますが、いろんな取り組みがなされていて、毎回楽しみながら見ています。

坂本さん:先進的ですよね。保育料が二人目無料にもなって。
 

――家族での移住を成功させる秘訣があるとすれば、何だと言えそうですか。
 
坂本さん:膨大な手続きを乗り切るために、全部を一度にやろうとしない。移住も家族での決め事なので、配偶者と一緒に進めることが大事だと思います。

夫婦のどちらか一方が何かを諦めたり引け目を感じないよう、歩み寄る姿勢が大切かなと。私たちは、「子供の将来を考えて生活環境を整えたい」という想いが共通していました。

そこが意思決定のアンカーになりましたね。

中元さん:夫婦の足並みが揃わずにズレていくと、諦めるポイントが増えたり、後になってから爆発することが増えるかもしれません。

“家族の一大プロジェクトにできるかどうか”が鍵だと思います。

私は、坂本さんに「移住転職の先輩」として事前情報をいただいたことがとても参考になりましたし、勇気ももらえました。情報収集したい方は、お気軽にYOUTURNさんを通じて我々にコンタクトいただきたいです!

<編集後記>

「移住の前後は怒涛のような日々だったけれど、福岡での仕事も暮らしも大満足」と語るお二人。坂本さんも中元さんも、共に大企業でのお仕事を続ける中で移住を検討し、一度はキャリアを諦める覚悟もあったと言います。「移住」や「転職」について、女性側の葛藤を垣間見る思いがしました。

お二人とも、人生の大切な時間を使って働くことを楽しんでいる。そういった印象を受けました。地方においても、働きたい気持ちや働き方・条件も全てを叶えて自分らしく活躍できる場所が確かにあることを感じます。一人でも多くの方がそのような環境で輝けるように、私たちもご支援をしてまいりたいと思います。

YOUTURNのご支援によって、九州・福岡への移住転職を果たしてきた方々の人数は100名を越えます。検討中の方々と移住転職の先輩たちとを繋ぐ活動も、今後ますます本格化させていく予定です。一人では不安なことも、コミュニティの繋がりや経験者の最新情報によって前向きに乗り越えていけるよう、仕組みを整えていきたいと考えています。

「九州・福岡への移住転職を考えているが、どう動けばよいか分からない」そのような方も、ぜひ一度お話してみませんか。YOUTURNは、ご自身でも具体化ができていない思考整理の段階からお手伝いをしていきます。

累計の移住転職実績100名以上!
福岡専門、ハイクラス・エクゼクティブ特化
登録無料で、情報収集とキャリア面談から

著者 YOUTURN編集部
YOUTURNは、累計100名以上のハイクラス・エクゼクティブ、大都市の最前線で活躍されたビジネスパーソンの九州・福岡への移住転職を支援するエージェントです。地域特化、UIターン転職ならではフル・オーダーメイド転職支援を通じて、今世の中の求人票にはない、あなただけの求人ポジションをつくります。

この筆者の最新記事

このシリーズの他コンテンツ