デザインも企画も広報も。福岡で昔ながらの地域を守るための新しい挑戦
仕事を選ぶ時、専門性を武器にスペシャリストとして働く道もあれば、分野を限定せず組織に貢献していく道もあると思います。
福岡の伝統ある料亭旅館「御花」で働く竹中さんは、デザイナー・企画運営・広報と、並行して複数の役割をこなしています。しかし、転職活動時には「御花で何ができるのかイメージできず、いったん辞退した」そうです。
なぜ竹中さんは想像もしてない異業界へ飛び込もうと思ったのか、その経緯を聞きました。
ゼロからデザインと広報のノウハウを形成
ー竹中さんは長野県出身。デザイン系の専門学校で建築やインテリアのデザインを学んだ後、東京でフリーランスになりました。
最初はフリーで2年ほど、東京の伝統工芸の職人さんと商品開発などのプロジェクトに参加していました。しかしデザインだけで生活するのは難しく、いったん地元に戻り、コーヒー専門店にデザイナー職で入社したんです。しかし中小企業だったため、デザインだけでなく、広報まわりも担当していました。
当時デザイナーというポジションで入ったのが私だけだったので、部署を作っていく過程にも関わらせてもらいました。会社の成長と共に、外部のPR代理店やデザイン会社とのつながりが増えていき、徐々に社内へノウハウが蓄積していったんです。
会社が大きくなるにつれて、業務量が増えていき、デザイナーを入れたり、広報を入れたりしてチームを作っていきました。
5年ほど働いて、最終的には自分が手を動かすより、チームの人たちに動いてもらう形が増えていきました。会社と一緒に成長できたので、非常にいい時期に働かせてもらったなと思います。
ー長野から福岡への移住を決められたきっかけは何ですか。
はっきり移住を意識したというよりは、「今後どうしようかな」と思い始めたのが、2年前ぐらいですね。結婚をきっかけに将来について考え始めて、そのまま1年ぐらい経っても答えが出なくて。
妻が福岡出身だったので、まずは福岡県に移住することを決めました。本当に何もつてがない中、最初は自分で面白い会社がないか調べたり、説明会に参加したりしたんですけど、なかなか見つからなかった。
そのまま、どんどん時間が過ぎて行って「まずいぞ」と。やっぱり専門のエージェントに相談した方がいいと思い、YOUTURNに連絡させて頂きました。
自分に合うかは面接してみないとわからない
ーYOUTURNから御花を紹介された時、イメージと違う業界だったため断ったという竹中さん。そこから、入社することになった理由は何だったのでしょうか。
最初にYOUTURNのサイトを見た時、面白そうな会社がいっぱい載ってるなと思いました。掲載されている人達も、ちょっと変わってて面白そうだなと。
それで連絡して、御花を紹介してもらったんですけど、いったんお断りしたんです。当時、自分の興味がアプリ開発などテクノロジー方面に行っていて、御花で出来ることがイメージできなかったので。
その後、YOUTURNキャリアコンサルタントの西尾さんにメールで「色々考えすぎないで、とりあえず受けてみたらどうですか」と言われました。面接してみないと合うかどうか分からないし、色んな経営者と会えるのも今のタイミングしかないから、会っておいた方がいいですよ、と。それを聞いて「確かに」と思ったんです。
こっちが断った案件に対して、そういう風に言ってもらえたことも驚きというか、親身に考えてくれてるんだなと嬉しかったですね。その後、改めて御花さんを紹介して頂いて、自分もできればBtoCに関わりたいと思っていたので、一度受けてみることにしました。
ー実際に面接してみて、御花の印象はどうでしたか。
最初のオンライン面接もそうですし、現地に来た時もそうなんですけど、御花の雰囲気や空気がすごく自分に合ってるなと思いました。立花代表の人柄にもすごく惹かれて。
実際にこの場所に来た時に、御花と地域との繋がりをすごく感じたんです。地方の課題解決に繋がる仕事ができたらいいなと思っていたこともあり、気持ちが固まっていきました。
他にも色々な会社を受けてたんですけど、御花以外と悩むことはなかったです。自分が地方出身だから、どちらかというと福岡市内より、柳川市の空気の方が合っていたんだと思います。
ー奥様はどういう反応でしたか。
妻はおそらく、福岡市内に住むことを想定していたでしょうね。ただ、長野県と比べたら柳川市は妻の地元に相当近いので。そういう意味で「県内だったらどこでもいいんじゃない」と言ってくれましたし、特に反対もなく進みました。
ー移住する前に不安だったことは何かありますか。
コロナの影響がどうなるかわからないという特殊な心配をのぞくと、福岡市と違って柳川市の地域情報が少なかったことですね。
土地勘が全くなかったので、この辺りでどこが一番住みやすいかがよく分からなくて。でもまあ、私も妻も新しいことが好きなタイプなので、暮らしやすければどこでもいいかなと考えていました。
YOUTURNさんにかなりカバーして頂いたおかげもあり、移住後に困ったことは特にないです。長野から九州に来ると、人も文化も全然違うので楽しいですね。
御花にはチャレンジする文化がある
ー竹中さんは現在、御花でデザインから広報業務まで、幅広く担当しています。各部署と連携し、新しい企画をどんどん形にしている最中だそうです。
デザイン業務では、宿泊で使うご案内や、夕食時にお出しするメニューなどを作っています。それに加えてプレスリリースを作ったり、企画を考えて売り込んだりと広報的な業務も並行してやっています。仕事内容としては、前職と似ている感じですね。
前の会社もそうでしたけど、1つのことだけやっていても駄目なんですよ。デザインだけやりたいんだったら、デザイン会社に行けばいいですし。そうじゃなくて、もっと周辺の色んなことも含めて仕事できることが楽しいと思っています。
最近では、九州交響楽団さんを呼んで大広間でコンサートを開催したり、お月見プランを社内で企画してリリースを作ったりとか。広報まわりは今、2名のチームでやっています。他にもブライダルやサービス、宿泊などの各部署の代表者が集まって、密に連携を取りながら進めています。
御花という会社はすごく柔軟性のある、懐の深い会社だと思います。企画がすぐ形になっていって面白いし、本当にみんな楽しんでやっている。「こうしたらいいんじゃないか」とどんどん言ってくれるし、こんないい組織はないなと。
入社してまだ5か月なのが信じられないぐらい、他のスタッフと距離の近さを感じます。皆さんオープンですし、コロナで大変な時期に入社したんですけど、受け入れてもらえている感じがすごくある。ここで働く人の雰囲気が、やっぱり自分に合っていると思います。
<執筆後記>
誰しも、できることなら時間や手間をかけず、効率よく転職活動したいと思っているのではないでしょうか。
しかし竹中さんは、「色んな経営者の話が聞けるのは今だけ」というアドバイスに納得し、想定していなかった御花の面接に挑みました。その結果、どこよりも相性のいい仕事と出会えたのです。
どんな仕事が合っているのか、他人からの方がよく見える場合もあります。個人での職探しに限界を感じたら、一度プロに相談してみてはいかがでしょうか。