「育ててもらった故郷に還元したい」コロナ禍をきっかけに東京の大手企業から福岡へ移住転職

私の移住転職ストーリー
09/03/2021 更新

今は東京で働いているけれど、いつかは九州に戻りたいと考えている人は、多いのではないでしょうか。しかし、仕事が順調であればあるほど、なかなか1歩が踏み出せないと思います。

株式会社Fusicに転職、経営企画本部長の小田晃司さんも、公認会計士として東京の大手企業で着実にキャリアを重ねていました。「いつか地元に戻りたい」と思いながらタイミングが掴めずにいた小田さんの背中を押したのは、コロナ禍だといいます。

2020年12月に福岡への移住転職を実行した小田さんに、経緯を伺いました。

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会計士として税務・投資分野でキャリアを形成

ーー長崎県出身の小田さんは、高校卒業後に東京の大学に進学しました。実は子どもの頃から車が好きで、カーレースの世界に憧れていたそうです。そこからなぜ、会計士の道に進まれたのでしょうか。

モータースポーツの世界ってすごくお金がかかるんですよ。レーサーになるための専門学校の学費が非常に高額で、自分の経済力では無理だと思い、断念したんです。大学進学後、就活で自動車メーカーを受けましたが、ちょうどリーマンショックの年で厳しい状況でした。

他の業種に就職しようか悩んでいた時に、兄が会計士の勉強をしているのを見て、自分も挑戦してみようと思いました。


ーー大学卒業後、ゼロから会計士の勉強を始めたのですか。

そうです。手に職を持っていれば、今後のキャリアの可能性が広がると考え、2年間学校に通いました。背水の陣ですね、受からなかったら本当に何もないから(笑)。

2012年に公認会計士試験に合格して、外資系の税理士法人に入りました。就職先としては監査法人もありますが、自分には合わない気がしたので税務の道を選んだんです。

そこで金融部に配属され、金融機関のお客様を見ていました。転機になったのは、日系投資銀行への出向です。一緒に働いていた銀行員の方々の、視野の広さに感銘を受けました。


ーー「視野の広さ」とは、具体的にどういう部分でしょうか。

税理士法人は専門家集団であり、税務のためにビジネスを理解する必要がありますが、若手のうちはビジネスの知識よりも、まずは武器である専門性を磨くことに重きが置かれる印象がありました。

一方、銀行は様々なところに投資するため、若手の頃から投資先のの財務状況を見たり、新しい事業について情報収集したりと、視野を広く持つ必要があります。

投資先の会社を伸ばすために、上層部だけでなく若手も幅広い視点で物事を見ている。世の中にはすごい人がたくさんいると実感すると共に、自分も投資の世界に携わりたいと考えるようになりました。

出向が終わった後、少ししてから税理士法人を退職し、大手の生命保険会社に入りました。


ーー2社目にはどれぐらいいたのですか。

1年半ぐらいですね。投資に関わりたいと思いつつ、キャリアとしてはずっと税務だったので、まずは税務課に配属されました。するとそのまま、ずっと税務課にいてほしいと言われて。ありがたい話ではあるんですが、やりたいこととは違ったので、仕事を若手に引き継いでまた転職しました。

3社目で政府系ファンドに入り、やっとファンドの管理業務に携わることができました。そこで地方の中核企業を見ていく中で、「いつか九州に戻りたい」と思っていた気持ちに火がついたんです。

九州に育ててもらったから、九州に還元したい

ーー27歳で会計士のキャリアをスタートさせた小田さんは、漠然と「35歳ぐらいで九州に戻ろう」と考えていました。Uターンする前に、東京でやっておきたかったこととは何だったのでしょうか。

大手の金融機関は東京に集中しているので、そういった企業を相手に東京でしかできない仕事をした上で、福岡に戻りたいと考えていました。今振り返ると、果たして本当に「東京じゃないとできない仕事」だったかは疑問ですが、当時はそう考えていたんです。

背中を押した一番のきっかけは、コロナ禍ですね。ずっと在宅で仕事している中、東京にいる意味ってなんだろうと本格的に考えはじめました。


ーー東京を離れることへの葛藤はなかったですか。

結構ありました。九州に帰るなら、もう東京には戻らない覚悟を決めなきゃいけないと思いましたし。

でも自分がどういう人生を送りたいかを考えた時に、「九州出身なのに、東京でバリューを出し続けて終わるのはどうなんだろう」と思ったんです。自分が生まれた故郷を、踏み台にしてと言うとあれですけど、育つだけ育って後は知らないというのはどうかなと。

せっかく東京で色々な世界を見てきたなら、地元に持ち帰って還元したいと思ったし、九州じゃないと出せない味も当然あるだろうと。そういう世界を作っていけたら楽しそうだと、考えが変わっていきました。


ーーYOUTURNに登録後、最初に紹介されたのがFusicだったんですよね。

そうです。1社目にFusicを紹介してもらい、代表の納富と面談したらすごくフィーリングが合ったんですよ。まさにイメージ通りの世界観を持っている会社だったので、ぜひ働きたいと思いました。


ーーどのような部分でフィーリングが合ったのでしょうか。

福岡に拠点を置きながら、日本を代表する会社を目指すっていう、その思いですね。普通は、ある程度の規模になったら東京にヘッドオフィスを移すとか、支社を作ってそっちで頑張るというパターンが多いんですけど。

でも納富は、福岡で生まれ育って福岡の人間として生きてきたなら、地元に還元したいと言っていて。そこが自分の思いとマッチしたので、迷いはありませんでした。


ーー他の転職エージェントには登録しなかったのですか。

今回は使いませんでした。過去の転職の際、大手のエージェントに登録して福岡も候補地に挙げていたんですけど、情報を持ってなかったんですよ。判を押したように、「福岡より東京でキャリアを積んだ方がいい」と言われて。

まあそう言うだろうなと思いながら、もっと面白い人材紹介会社はないかと探したところ、YOUTURNを見つけました。まずキャリアコンサルタントの高尾さんと面会し、こちらの話をちゃんと理解してくれていると感じました。

当時はまだ情報収集ぐらいのトーンだったので、カジュアル面談という形でFusicを紹介してもらったんです。でもいざ納富と面談したら「いつから来れる?」って(笑)。あれ、全然カジュアルじゃないぞと思って、面白かったですね。


ーーそれだけ熱烈なオファーを受けたら、「他にもっといいオファーがあるかも」とは考えませんでしたか。

それはなかったです。思い立ったが吉日じゃないですけれど、自分が直感で「いい」と思ったものは信じるべきだと考えているので。

会計士試験の時も、難しい問題ほど直感的に選んだ答えは大体合っていたなぁという経験が沢山ありました。後から色々考えて、選択を変えると間違ってしまう。試験に限らず、そういうことって人生でも多いんじゃないかと。人間の直感をもっと信じるべきだと思っているんです。


ーー確かに「故郷に帰りたい」という気持ちは、ロジックでは説明できないですもんね。

直感でAを選んで失敗した時の後悔と、Aだと思ったけど後から色々理由をつけてBに変えて間違えた時の後悔、どちらが大きいか考えると、私の場合は後者なんですよ。直感が絶対なわけではないですが、あれこれ理由をつけて間違えた場合よりも、納得感はあると思います。

それにFusicの面接ではエンジニア部門の責任者とも話す機会がありました。みんな本当にいい人で、こういう会社って珍しいなと。最終面接が終わった後に、代表と副社長と3人で飲みに行って、最後のすり合わせもしました。

それぐらいコミュニケーションを取ってから入社したので、イメージとのギャップはなかったですね。人に対するコミットメントがすごくある会社だと思います。

経験を軸に会社を作っていく楽しさ

ーー現在、Fusicでバックオフィス全般を担当している小田さん。入社後、これまで渡り歩いて来た大企業との違いを感じましたか。

今までの会社と比べると、カオスですよね(笑)。現在、管理部門を強化しているところなので、会計・税務以外の法務なども含め、管理系は全部見ています。最初はその雑多さに驚きましたが、これから作っていく面白さを感じています。

自分が手がけた方向に会社が向いていくことがすごく楽しいんですよね。今まで働いてきた会社は、いわゆるゴールですから、そこを目指してFusicを作っていけばいい。そういう意味では、これまでの経験が指針になっています。一度ゴールを経験している分、今どこを目指すべきか、逆算しやすいところはあります。


ーー企業の内部に切り込んでいく際、受け入れる側とのコミュニケーションが重要ですよね。

そこは確かに難しいです。ただ弊社のエンジニアは、協力的な人間が揃っていると思います。新しい提案を突っぱねるのではなく、「ルール上そうなってるなら仕方ないよね」と理解して受け入れてくれるので。

私は車が好きなので、よく車を例え話に使うんですけど(笑)。サーキットなどの閉ざされた世界で走るだけなら、レースのレギュレーションの枠内で速さを追求して自由に車を作れます。

しかし、公道を走るとなると、歩行者や他の自動車など、他者への責任が広がるので、より厳しいレギュレーションの中で車を作る必要があります。

企業活動も似ていると思います。法人を作り、会社規模が大きくなるほど、社会への責任が大きくなり、守るべきレギュレーションが増えてくる。

その中で、いかにFusicの特色を出していくかを考える楽しさは、車作りに似てるよねと、よく話してます。

ーー福岡に移住して、生活面で不便を感じることはありますか。

あんまり感じないですね。街がコンパクトなので、電車を使わなくても徒歩や自転車で移動できますし、個人的にはこっちの方がいいと思っています。

特にネガティブな感想はないですが、強いて挙げるとしたら、人材の多様性じゃないでしょうか。東京の魅力の1つは、様々な会社で経験を積んできた人たちと一緒に働けることです。

福岡はまだ、そこまで至っておらず、伸びしろがあるところかなと。ただ弊社のエンジニアに関して言うと、異色の人材が多いのですごく面白いです。

トータルで見ても、移住はメリットの方が多いと感じています。仕事通勤面もそうですし、住宅コストも首都圏の半分くらいで、首都圏よりかなり広い家を購入できました。

自然豊かな阿蘇や湯布院に100キロぐらいで行けるのも、東京ではありえないですよね。やっぱり戻ってきてよかったと思います。

<執筆後記>

「いつか地元に帰って経験を活かしたい」と考えていた小田さん。東京でしかできない仕事があるのではと葛藤しながらも、ひとたび移住に向かって動き始めてからは直感に従い、一気に決断しました。

「故郷に戻りたい」と思う気持ちは、理屈では割り切れません。迷っているなら、小田さんのように直感に従って踏み出してみてはいかがでしょうか。

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著者 YOUTURN編集部
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