鈴木さんは地方銀行、人材紹介業を経て、スタートアップのインキュベーション施設であるFGN(Fukuoka Growth Next)の運営支援を行うZero-Ten Parkに入社。現在は、FGNにてコミュニティマネージャーとしてご活躍中です。
 
入社から1年以上が経過。鈴木さん、Zero-Ten Park側で採用にあたった常務取締役の勝呂さんにYOUTURNの高尾が加わり、コミュニティマネージャーという定義づけの難しいポジションでの採用経緯や、同社が描く“組織のあり方”と鈴木さんの存在感についてお話を伺いました。

 

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スピーカー:
鈴木翔大さん(Fukuoka Growth Next 運営委員会事務局)
勝呂方紀さん(株式会社Zero-Ten Park 常務取締役)

高尾大輔(株式会社YOUTURN 代表取締役)

 
 

Zero-Ten Parkと出会うまで、もがいていた3年間


左から鈴木さん、勝呂さん


――鈴木さんは2019年6月にYOUTURNに登録され、3年後の2022年にZero-Ten Parkとご縁が繋がります。まずは鈴木さんの「第一印象」をお聞かせください。
 
高尾:コロナ禍前だったので直接お会いしたのですが、今の鈴木さんからは想像ができないほど、ザ・銀行の人という硬い印象でした。
 
鈴木:今振り返ってみても垢抜けていなかったなと。銀行員時代は、常にビジネスの場にふさわしい立ち居振る舞いを意識していました。
 
勝呂:第一印象は誠実そうな方だなと思いました。金融系のバックグラウンドを持つ人はそれまでZero-Ten Parkにおらず、鈴木さんは僕らの身近にいる人とは違う空気をまとっているように見えました。
 
自分たちとの違いも、彼に惹かれた理由の一つです。コワーキング事業を営んでいると、組織の力は“多様性”によるところが大きいと日々感じるので。
 
――2019年に移住転職も含めて検討された後、動き出すまで1年ほどの熟成期間がありました。思考整理の期間だったのでしょうか。
 
鈴木:転職に踏み切る勇気がなかったんだと思います。差し迫った事情もなく、本気で考えてはいなかったのかもしれません。目の前の業務に追われる日々でしたから。
 
高尾:転職したい気持ちはあるけれどなかなか踏み切れない葛藤をお持ちでしたね。転職した方がいいと思いつつも、どの方向に進めばいいのか、最初の一歩が見つからないような時期が長かったのでは。
 
――1年後、2020年の春にYOUTURN経由でいくつかの企業と接点を持ちます。当時の転職活動ではどのような軸で動いていましたか。
 
鈴木:「チームを大事にして動いている組織かどうか」に重きを置いていました。銀行では12年間ずっと個人プレーの営業でしたから、同じベクトルに向かってチームで何かを成し遂げる働き方にずっと憧れていたんです。
 
――結果的には、半年後、銀行から前職のヘッドハンティング企業へ移られました。
 
鈴木:2020年のコロナ禍において、銀行第一の考え方を色濃く感じたことが最終的な決定打です。コロナに合わせた働き方が求められる中でも、銀行はなかなか変わらない。もう辞めないといけないなとアクセルがかかりました。そんな時にスカウトの電話をもらい、一先ずこの状況を脱しようと飛び込んだのが一度目の転職の経緯です。

※鈴木さんの具体的な転職活動については、こちらをご覧ください。
 

コミュニティマネージャー=寮長?役割は場づくりだけじゃない


左から高尾、鈴木さん、勝呂さん

――2022年3月、鈴木さんは初めてZero-Tenとの接点を持たれます。勝呂さん、当時のZero-Ten及びZero-Ten Parkの組織・事業はどのようなフェーズでしたか。
 
勝呂:2020年から始まるコロナインパクトによって、僕らの事業は大きな打撃を受けました。2021年は様々な事業をリストラクチャリングする必要があり、立て直しを図った年でしたね。
 
一方で、新しい芽も仕込んでいたんです。2022年は鹿児島での新拠点や、西日本シティ銀行さんと大名のコワーキングも始まる年。辛い冬をグッと乗り越え、いよいよ春になるという時でもありました。
 
組織には「空気」があります。事業を整理すると場の空気が冷え込んでしまい、メンバーの士気も上がりづらいものがある。再度チームをエンパワーする必要がありました。
 
Zero-Ten Parkのコワーキングスペースは、入居される方々のビジネスの成長に伴走するものでありたいと考えています。僕らと同様、コロナによってトランスフォーメーションの必要があり、チーム感に課題を感じている方が多かったんです。当時、事務局長が「FGN全体を見ていけるような人材が欲しい」と。
 
2022年は、福岡でビジネスをする人達が健やかに成長できるようにと願って、常にアンテナを立てていました。高尾さんには折に触れ「こんな人材が欲しい」「今後こういう風にしていきたいんだ」と話していたので、それを受けて鈴木さんを紹介いただいたのだと思います。
 
――「コミュニティマネージャー」というポジションは、当時はまだ経験者も少ない状況でした。高尾さんはどのような観点からマッチングしていこうと考えましたか。
 
高尾:Zero-Ten Parkさんに限らず、コミュニティマネージャーというものが職種として世の中に定義され始めた頃でした。ただ、「コミュニティマネージャーとはこれだ!」とまではまだ固まっていなかったなと。
 
それまで僕の中で、コミュニティマネージャーは寮長さんみたいなイメージでした。でも、勝呂さんとお話して、和気藹々とした場を作る人というだけではないんだろうなと印象が変わっていって。施設での一次情報に触れ、ステークホルダーの中で話を繋いでいく役割。さらには収益化も考える、経営的な側面も必要です。高いビジネス感度で物事を考えられる方が人物像として浮かびました。
 
鈴木さんには、銀行でお金・経営を、人材会社で人・組織を見てきた経験があります。「もしかすると、この二つの経験が融合した先に理想のコミュニティマネージャーの姿があるのでは」と仮説を立ててお繋ぎしたんです。
 
――Zero-Ten Parkのコミュニティマネージャーの打診があったとき、最初の印象はいかがでしたか。
 
鈴木:率直に面白そうだなと。これまでのキャリアでもずっと経営者のお手伝いをしてきました。起業前後という若いフェーズでは「自分に何ができるんだろう?これからどんなことが起きるんだろうか?」とワクワクしましたね。
 
一方で、FGNの事務局メンバーは全員何かしらの分野のスペシャリスト。私がどんなバリューを発揮できるだろうかと不安な気持ちもありました。

 

仕事の優先順位は3番目。家族みんながハッピーでなければ意味がない



――Zero-Ten Parkへの入社は、慎重に検討されたものと思います。内定応諾までに年収面での交渉もあったとお聞きしました。
 
鈴木:私の中で仕事の優先順位は3番目と決めています。1番目は自分の健康。2番目に家族。3番目が仕事。結果的に前職では家族に辛い思いをさせてしまいましたから、次こそ皆が満足できる形で入社させてもらいたいと。
 
――鈴木さんの給与交渉について、採用側としてはどのように感じましたか。
 
勝呂:僕は、給与交渉するという行為は健全なことだと思っているんです。自身の価値をプレゼンテーションできる人のほうが、仕事に対するコミットメントや一定の自信があるはずだと。鈴木さんの交渉にマイナスの印象はありませんでした。
 
――転職支援の現場では、給与交渉はよくあるケースなのでしょうか。
 
高尾:基本的には企業側から提示されたオファーの額で応諾してもらうのが一番スムーズです。
 
交渉するからには、希望通りにいかなかった場合「入社しない」覚悟が必要です。試しに言ってみて給与は上がらなかったけれど、そのまま入社するというのはちょっと違うなと。
 
ビジネスの折衝と同じく、候補者に相応の覚悟がなければ、簡単に企業側には伝えられないところです。鈴木さんともかなり慎重にやり取りをしていました。
 
勝呂:「この会社に入ったら自分はこういうことができて、事業がこういう風に進んでいく可能性がある。僕はそれを牽引できると思う」。そうやって道を切り拓いていくことは大事だなと思います。
 
「これでなければもう人生が終わる」なんてことはなく、固執しすぎず、フラットな条件として選択肢を比較する。最大限、自分の道が素晴らしくなる条件を勝ち得ていく。そうやって人生を前に進めていく人のほうが僕には魅力的に映りますし、エールを送りたくなります。
 
高尾:前職からの年収の下がり幅をみての交渉と、自分の出す価値に対する評価への交渉とでは質が違いますよね。自分が一番モチベーションを持ってコミットできるラインがどこなのか。交渉というよりは「提案」。この感覚は、移住転職を検討している人にとって特に大事なマインドだと感じます。
 
勝呂:Uターン移住者の受け入れ側としては、地元の人と確かに違う何かがなければ採用したいとは思いません。失敗の経験でもいい。培ってきたことを自分の口で明確に言ってくれるほうが気持ちがいいですね。
 
――選考の過程で、勝呂さんが鈴木さんを評価していた点は4つでした。「銀行で培ったビジネス基礎力」「不動産・REITの理解と経験」「誠実なコミュニケーション力」そして「コワーキングとスタートアップ業界に対する理解と興味」。鈴木さんの入社前と後でギャップを感じることはありましたか。
 
勝呂:ポジティブな意味で、元々の想像とは少し違う点もありました。彼自身のパーソナリティーとキャラクターが今の仕事にとてもフィットしているんです。Zero-TenとFGNの仕事にしよう、入居者さんにとってもプラスになるようにしようと奮闘してくれて、周りの信頼にもつながっています。朧げながら想像していた「コミュニティマネージャー」の姿を地で行っているのは、見事だと思います。
 
体より頭が先に回る人なのかなと想像していたんですが、彼は体が先に回転する。これも当初とのギャップで新鮮な発見でした。
 
そして、組織に新しい風を吹き込んでくれたこと。僕のようなコマンダーばかりだったらメンバーにとっては圧が強すぎる。でも鈴木さんは、例えるならEテレの体操のお兄さん(笑)。「まあまあ、みんなで頑張ろう」って、萎縮した空気を中和してくれるんです。
 
彼がミドルにいてくれることで、他のメンバーは自分の居場所を見つけられている。考え方ややり方が多様であればあるほど、自分の思考も許容される可能性が高いと思いますから。生き生きと働きやすくなりますよね。
 
鈴木:率直に嬉しいです。しっかり応えられるように頑張りたいですね。頭より体が先に動くという部分は自覚できていないところでもあるんです。これからは頭も動かしていけるように自分を高めていけたらと思います。

 

東京でのキャリアを経て、いま福岡だから手にできるチャンス



――今後のZero-Ten/Zero-Ten Parkで、鈴木さんのようなミドルマネージャーやハイクラスのビジネスパーソンを採用する際、フォーカスするのはどのような点ですか。
 
勝呂:一つは「多様性」です。自分たちにはないパーツを持っている人こそ、僕らが必要とする仲間です。
 
事業がどんどん成長していくために、まだ見ぬ新しい風を吹き込んでくれるような人に加わって欲しいと考えています。鈴木さんを迎え入れたときに期待していたことと実際のパフォーマンスは違ったけれど、それがかえって良かったように。年齢も経験も様々で、その人らしさや強みが活かされていれば、きっといい化学反応が起こせるのではないかと思います。
 
――実際に一年半ほどお仕事をされてみて、東京の一線級にいるビジネスパーソンにとっての福岡企業とキャリアについて、今どのように感じますか。
 
鈴木:Zero-Ten Parkでのキャリアは、これまでの自分が全く想像し得ないものでした。思っていた以上に楽しく、ワクワクしながらポジティブにお仕事をさせてもらっています。
 
ビジネスも含め、福岡は想像以上に面白い物事で溢れていますが、それを作り出していく人はまだ足りないように思います。福岡にはまだないもの、あるいは、福岡らしい新たなものを作っていけるチャンスや、福岡だからこそ得られる自分のポジションがある。東京でキャリアを積んでいる方が、移住して働く上での楽しさや価値ではないでしょうか。
 
――最後に、鈴木さんが今後やっていきたいこと、歩みたい道として今見えているものはありますか。
 
鈴木:直近は、FGNで福岡のスタートアップのエコシステムにしっかりと貢献をしたいです。それが福岡の街の面白さや、ゆくゆくはZero-Ten Parkに還元できると信じているので、やり遂げたいですね。
 
その先はもっと大きな視野で、Zero-Ten、Zero-Ten Parkで働く人や関わる人みんながワクワクできるように私が引っ張っていけたらと思っています。体操のお兄さんみたいな感じで(笑)。みんなと一緒に進んでいきたいです。

 
<編集後記>
 
組織や事業が伸びやかに成長し磨かれていくためには、多様性が欠かせません。鈴木さんが入社し、Zero-Ten Parkというパレットに新たな色が加わったからこそ、勝呂さんはポジティブなギャップを感じたのだと思います。今後も新たなメンバーが加わるたびにカラフルさを増し、次へ、次へと新たなステージに向かっていく同社。次はどんな色が足されるのか、楽しみです。

 

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著者プロフィール

YOUTURN編集部
YOUTURN編集部
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