はじめに

厚生労働省の調査(※1)によると、全国の歯科診療所数の数は約6万8,000施設と言われています。これはコンビニの店舗数よりも多く、大変大きな市場であることを感じさせる数字です。

一方で、そのような大きな市場でありながら予約管理、カルテなど、多くの業務が手作業で行われ煩雑であるなど業務上の課題が多いのも事実。

そうした課題解決に取り組み、2018年2月にはベンチャーキャピタルらから総額1.6億円の資金調達を発表。急成長への舵を切っているのが福岡に本社を持つDentaLlightです。

全国の歯科医と患者さんをつなぐ唯一無二のアプリサービスを開発し提供。

歯を入り口に“健康を相互依存できる社会を作りたい”というビジョンを掲げ、「本気で時価総額1兆円企業を目指す」というDentalight創業者の藤久保元希氏に、YOUTURNキャリアコンサルタント高尾大輔が同社の設立経緯や今後のビジョンなどを伺いました。

※1……平成28年(2016)医療施設(動態)調査・病院報告の概況


【プロフィール】

◇藤久保 元希氏

株式会社DentaLight代表取締役社長
鹿児島県出身。山口大学卒業後、2008年より福岡へ。広告代理店の企画営業やスポーツマネジメントの営業を経て、グロービス経営大学院福岡校で学び独立。2013年10月30日、株式会DentaLightを創業。セルフケア・診察券アプリ『myDental』や歯科医院向けの予約・CRMサービス『ジニー』などを展開する。


【聞き手】

◇高尾 大輔

株式会社YOUTURNキャリアコンサルタント
ベンチャー企業の幹部採用支援に特化したプロコミットにてコンサルタント、事業責任者を務める。2018年、株式会社YOUTURNにキャリアコンサルタントとして参画。(国家資格キャリアコンサルタント)


ランチェスターの「弱者の戦略」が原点

高尾:誰しも馴染みがある歯科医院。ですが、DentaLightが展開している「歯科医院向けビジネス」というとイメージしにくい方が多いと思うんです。


藤久保:そうかもしれません。


高尾:2015年に藤久保さんが起ち上げたDentaLightは、診察券として使えるアプリ『myDental』と予約・CRMサービス・アプリの『ジニー』は多くの歯科医院から支持を受け、急成長していますよね。

今後もさらに成長していきそうな勢いです。そのビジョンと共に、そもそもの成り立ち、そして、成長のためにジョインしてほしい人材にまでお話を伺えればなと。


藤久保:はい。よろしくお願いします。


高尾:もともと、歯科業界で起業しようと思っていたのですか?


Dentalight interview 01 sub 1
▲(右)株式会社DentaLight 代表取締役社長 藤久保 元希氏

藤久保:いえ、業界は歯科と定めてはいませんでした。起業志向は強かったのですが、歯科業界はまったく視野になかったですね。

私は鹿児島県で生まれ育ち、山口大学へ進学しました。新卒時は福岡にあるリクルート系の広告代理店で営業マンとして働き始めたんです。リクルート系の会社を選んだのは、リクルートが起業家輩出企業として知られていたからですね。


高尾:その後、1年半でスポーツマネジメントの会社に転職されていますよね。


藤久保:ええ。これもスポーツに関わりたいというわけではなかったんです。

リクルート系の広告代理店時代に偶然、飛び込み営業をした会社でした。そこで、社長が事業計画書を広げて、私にものすごく楽しそうに企画を説明してくれたんですね。

当時、広告の枠を売るという仕事はやりきった気持ちもありました。

「やはり自ら企画を創り出し、走らせるような仕事がしたい!」と考えて、社員第1号として、その会社に転職したんです。結局、4年間はそこにいましたね。


高尾:なるほど、社長が語るビジョンに魅せられたんですね。

この頃に、藤久保さんは『f(2.0)』という若手ビジネスマン向けの勉強会を主催されていましたよね。これはどういう経緯だったのでしょうか?


藤久保:「自分で何かを創り出したい」と思い転職したのですが、なかなかそこまではたどり着けなかったんです。社長の人脈とスキルにより成り立っている部分が大きかった。

日々の仕事はおもしろく充実感もあるけれど、このままでは「自分自身で何かを」という想いから離れてしまうなと感じたんです。自分自身のネットワークをつくらないと何もはじまらないなと。

そこで当時、朝活や勉強会が流行っていたので「福岡の20代限定」で勉強会を主催していました。ライフネット生命を起ち上げた岩瀬大輔さんやもしドラ(※2)作者の岩崎夏海さんなど、ビジネス書の著者をゲストに呼ぶなどしていて結構盛況だったんですよ。


※2……もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら


高尾:かなり著名な方々を東京から呼べていたんですね! ゲストとして呼ぶのは難しかったのではなかったですか?


藤久保:そこは地の利が活かせました。東京近郊なら目新しくもないけれど「福岡? なら行きたいな」という方が多かったんです。小さなことですが、こういう面でも「どうしたら東京に勝てるか」という視点はいつも持ちながらやっていましたね。


高尾:しかも「20代限定」のビジネスコミュニティにしたのも目立ちますよね。


藤久保:ありがとうございます。大学時代から『ランチェスター経営戦略』(※3)を学んでいたので影響を受けている部分があるかと思いますね。


※3……戦争における戦闘員の減少度合いを数理モデルにもとづいて記述した『ランチェスターの法則』をビジネスに応用した戦略。


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▲(左)YOUTURN キャリアコンサルタント 高尾 大輔

高尾:ランチェスターと言えば、いわゆる「弱者の戦略」でしょうか。


藤久保:ええ。リソースをふんだんに持つ強者ではないとしたら、小さくても何か1点にドメイン、つまり注力する領域を絞ってポジションをとる、というのが概要ですよね。

起業を視野に入れながら、ランチェスター戦略を常に意識して動いていた。「福岡で20代」と絞れば、他にはなく自分のポジショニングが明確になる。コネクションは強まるだろうし、目立ちます。


高尾:ランチェスター戦略を活かされていたのですね。その後、28歳のときに起業されます、直接的なトリガーは何だったのですか?


藤久保:大きかったのはグロービス経営大学院の福岡校に入ったことですね。自分がビジネスパーソンとしてどこまで通用するかを測る目的ではあったのですが、むしろここで得た人脈が大いに刺激になりました。

グロービス同級生の活躍が後押しに

高尾:と言うと、具体的にグロービスでどのような刺激を受けたのですか?


藤久保:卒業生の桁違いの活躍で目の前が開けたんです。

「あすか会議」と呼ばれる年に1回、在校生と卒業生が集う会があるのですが、その時に私より2歳ほど年上の卒業生のグループセッションに参加した時に衝撃を受けました。

「起業した会社を大手に15億円で売却した。そのうち5億円を元手にシリコンバレーで挑戦する」と。衝撃を受けました。福岡ではなかなか聞かないスケールの話です。


高尾:たしかにサラリーマンでは想像がつかない規模感、スピード感ですね。


藤久保:焦る…というか後押しされた感じですね。「自分も始めなければ!」と一気に思った。そこで、ようやく歯科業界につながるのですが、これもまたランチェスターです。


高尾:事業領域を絞ろうと思ったんですね?


藤久保:そうです。最初の職場である広告代理店の良さは、営業力が身につくのと、いろんな業種を見られる点がありました。あらためてそのとき感じたことを振り返ると「歯科業界は可能性がある」と思ったんです。


高尾:たとえば、どの辺りに?


藤久保:まず全国には6万8,000もの歯科医院があります。よく言われることですが、コンビニの数よりも多いんですね。

これは、市場がそれだけ大きいということ。しかし、競争も激しく、歯科医院は集客に苦労しているんです。

一方で食べ物を咀嚼して栄養を取り入れる歯は、健康の入り口としてとても重要。「歯の健康に関するビジネス」は社会的な意義も大きい。

さらにいうと、歯科業界に特化してITの領域で深く踏み込めている競合はほとんどなかったんですね。最終的には直感もあって「絞るなら歯科業界だ!」と決めたんです。そこにチャンスというか、光が見えた。


高尾:なるほど。そして2013年に独立して、『DentaLight』を起ち上げたわけですね。いうまでもなく、デンタル(=歯科)とかけてこの社名にしたんですよね?


藤久保:はい。私はもともとはいろいろとやりたがるタイプなので、まず社名で、自らを縛ったんです。「歯科ビジネスに絞るぞ」と。


高尾:なるほど(笑)。創業当初は、やはり大変でしたか?


藤久保:いえ、実は創業当初からそれなりに収益が出て、まったく大変ではなかったんです。それこそが悩みになりましたね。


高尾:それはどういうことでしょうか?

【後編へ】今後の戦略・求める人材は?


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会社情報

所在地福岡県福岡市博多区住吉3-1-18 福岡芸術センター1503号
設立年月2013年10月
社員数12名
関連業界システム開発、コンサルティング業
urlhttp://dentalight.co.jp
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