人にも地球にも優しい薬を世界に!

九州大学発のバイオベンチャー

私たちについて


私たちは、九州大学の技術を元に2018年4月に起業した大学発ベンチャーです。

カイコの体内でワクチンの元となる希少なタンパク質を作る」という、大学で研究が重ねられてきた技術を世界に広めるために会社を立ち上げました。今までにない新しい事業のため、東京の大きなベンチャー系イベントに呼ばれるなど、注目されています。

今はまだ開発段階ですが、近い将来、世界の製薬会社と共同研究して「人の体にも地球にも優しい薬づくり」を広めて行きたいと思っています。

事業内容


社名の通り、養蚕で使われるカイコから薬を作る事業を行っています。九州大学の日下部宣宏教授が、カイコからワクチンの原料となるタンパク質を取り出す研究をされていることを知り、これを世界的なビジネスにできないかと考えました。

現在、製薬会社と連携し、動物薬の開発を進めています。ヒト用の薬に関しては、前例がなく臨床試験に時間がかかるため、まずは製薬会社のルールに適合する生産設備を私たちで作って、共同研究するための準備を整えているところです。

医薬品以外では「試薬」と呼ばれる、研究で使うタンパク質をカイコから作って販売しています。また、対外診断薬と呼ばれる検査キットに使われるタンパク質(妊娠検査薬などの色が変わる部分に使われているタンパク質)も、カイコで大量生産できるように開発を続けています。

カイコは桑の葉しか食べないので、今年から桑の木も植え始めました。カイコを育てることで同時に地球を緑化し、CO2削減にも貢献できる事業だと思います。薬を作って人々を健康にし、地球も健康にできる。今までにない新しい薬の作り方を、世界の製薬会社にアピールして可能性をどんどん広げていきたいと思っています。

創業のストーリー


私はもともと関東で育ち、そのまま東証一部上場の大手機械メーカーに就職しました。転勤で長崎に来て、九州の方が住みやすいと感じたんです。また、取引先の社長さんたちが会社を背負っている姿が非常に輝いて見えて、大手企業の一員としてでなく、そちら側をやってみたいと。

機械メーカーを退職し、他の仕事をしながら、夜に九州大学のビジネススクールで起業マネジメントを学びました。そこで、世の中に出ず眠っている大学の研究や発明が多いと知ったんです。

何かビジネスにできないかと九大の特許を調べていた時に、カイコを研究している先生に出会いました。それで「面白そうだからやってみませんか」と先生達に伝えたのが始まりです。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)の起業支援プログラムSTARTを利用し2年半ほど準備をして、去年の4月に起業しました。

私たちの強み


私たちが取り組んでいるバイオ医薬品の分野は、今かなり伸びてきています。しかも、他の方法では作ることが難しい薬の原料が、カイコからなら作れる可能性が非常に高いことも分かっているんですね。今後の研究や開発によってまだまだ未知の可能性を秘めている、そこが強みです。

また今後は、地球に貢献できるような薬の作り方が本当に必要だと思っています。温暖化による気候変動で災害が起きた時、そこで発生する感染症を未然に防げるのはワクチンです。

でも、そうなる前に地球環境を整えていくのも私たちの使命ではないかと。『KAICO』なら、その両方が出来ると自信を持っています。

目指す世界、実現したいこと


まず最初の一歩は、グローバルファーマーと呼ばれる世界的に大きな会社と、ヒト用ワクチンの共同研究を結んで開発を進めること。将来的には世界中の製薬会社と連携し、アフリカなどにワクチンを配れるよう、大規模な形で原料を作れる企業にしていきたいです。

『KAICO』は私個人の会社ではなく、九大の先生達と一緒に作った大学発ベンチャーです。大学の知財を世の中に普及していくことをスタートにしているので、「いかに社会に価値ある企業にしていくか」が目標ですね。

抱えている課題


今、試薬としては製品を出せているんですが、それとは別の医薬品をこの1年で形にしていきたいと思っています。やっぱり安全性が一番大事なので、それを証明するのに時間がかかる。まだメンバーが少ないのもあって、一部の人間に荷重がかかりすぎているのが課題ですね。

もう少し人を増やして余裕を持ちたいと考えています。海外展開を視野に入れているから、海外メーカーの開拓や交渉が出来る人が欲しいです。品質管理や役所関係の対応も必要なので、商社や大手の製薬会社にいた事務系の方も来てくれると嬉しい。特に海外で活動してきた、40代ぐらいの即戦力になる方が理想です。

私たちが今、もがいている最中だから、一緒にもがいて勉強してもらえたら。将来自分も起業したいなど、そういう希望を持っている人が適材かと思います。

移住検討者へのメッセージ


九大にもバイオ系技術者の卒業生はけっこういるんですが、九州に就職先がなかなかない。だからみんな東京や大阪に行ってしまうんです。九州出身の人だったら「福岡なら働きたい」という人は多いと思います。

あとは、仕事自体が面白いと思ってもらえるかが重要ですよね。「企業は必要とされるからこそ存在する意義がある」と思っているので、私たちにしかできないものを作って、面白いと感じてもらえる会社を目指しています。そこに力を貸して頂けたら。

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社員紹介・インタビュー


中武さん

入社以前にしていたこと

地元は宮崎ですが、大学は京都でショウジョウバエ関係の研究をしていました。卒業後もそのまま関西で、化学分野の研究開発の仕事に就きました。5年ぐらい働きましたが、「ずっとここにいるのかな」と考えた時にイメージできず、退職しました。

そこから宮崎に戻り、農業関係の仕事をしていました。『KAICO』に来たのは去年の10月で、今は入社して1年ぐらいです。

入社した理由

高校の同級生が『KAICO』で働いていたのがきっかけです。高専でタンパク質の発現や遺伝子組み換えをやっていたので、できるだろうと声をかけられました。

社長との面接のとき、「飲みながらやろう」ということで市内の居酒屋で会ったんですけど、仲介役が遅刻してきて(笑)。初対面で、社長といきなり2人きりで話しました。社長の印象はその時と今とで変わらないですね。

それまでカイコは触ったことがなくて、特殊な仕事でもあるから、やってみないと分からない部分はありました。でも、前職は成果が目に見えずあまり楽しいと思えなかったので、やってみようかなと。

今、取り組んでいること

今やっているのは、まずウイルスを作ってカイコに注射し、そこからタンパク質を作る作業です。カイコの体内で作られたタンパク質を精製するのに一番時間がかかりますね。簡単なのは2~3日で終わりますが、やりにくいのはもっとかかります。 でも、そこにたどり着くまでに工夫の余地が色々ありますし、最終的にうまく行くと楽しいですよ。「やった」という気持ちになります。

今はまだ途中ですが、将来はワクチンを作って世界に広げたり、別の会社と連携して抗体や診断キットを作ったりと、可能性を大きく広げていきたいです。そうなったときに、「これは自分が関わった仕事だ」と思えるのがいいですよね。今までの仕事では、成果が目に見えることがあまりなかったので。

「最初に全部理解してからやりたい」ってタイプの人は、勉強量がどんどん増えて追い付かなくなるかもしれないから。やりながら学んで行ける人なら、力を発揮できるんじゃないかと思います。


YOUTURNからのコメント


拡大するほど社会が良くなる事業を推進していく


高尾大輔

YOUTURN 取締役 キャリアコンサルタント


私は、こんなに美しいビジネスモデルは見たことありません。KAICOの事業が大きくなればなるほど、社会が良くなるのではないでしょうか。

通常、生産工場を拡大する際は環境問題はセットですが、蚕に必要な桑の葉を植林していくほど、緑は増えます。そしてその結果できるワクチンで人の命が救われる。また、蚕の飼育用途が絹生成以外にもできることで養蚕農家の復興にもつながるのではないでしょうか。

事業フェーズとしては、九州大学が100年かけて研究してきた蚕をビジネスとして成立させようとしている点でとてもおもしろいのですが、ビジネスとしてしっかりと立ち上げていくのはこれから。そうした醍醐味も味わえるでしょう。

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会社概要


事業所(本社)

福岡市西区九大新町4−1 福岡市産学連携交流センター217

資本金

非公開

年間売上

代表者

大和 建太

設立年月

2018年4月

従業員数

7名

関連業界

バイオテクノロジー、医療

url

http://www.kaicoltd.jp/

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