
【イベントレポート】事業責任者、マネージャー向けに採用面接トレーニングを実施|再春館製薬所xYOUTURN
2025年2月20日、株式会社再春館製薬所様にご協力いただき、事業責任者および管理職の皆様を対象とした「採用面接トレーニング」を実施しました。
近年のU・Iターン転職における採用市場の変化を踏まえ、面接官に求められる役割の変化や、候補者の見極めと惹きつけの技術。その実践編として、面接のロールプレイまで取り組んでいただきました。
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トレーニング実施の背景

一般的な転職活動とは異なり、大都市から九州・福岡など地方都市へのU・Iターン転職では、ネット社会の昨今でも求職者が得られる情報が限られており、大きな課題となっています。
また、特に九州に根付く歴史ある企業においては、新卒採用を中心に人材確保を進めてきた背景もあり、中途採用やキャリア採用における面接経験やその受け入れ体制が十分ではないという課題も伺いました。
実際YOUTURNを経由した選考の過程で、候補者と企業との認識のズレが生じ、せっかくのご縁がつながらないケースも少なくありませんでした。
こうした企業と求職者の選考プロセスにおけるギャップを解消するため、今回熊本に本社を構える再春館製薬所様にご協力いただき、トレーニングプログラムを実施。
採用市場の変化と面接官の役割

現在の採用市場は、企業が候補者を選別する「買い手市場」から、候補者が企業を選ぶ「売り手市場」へと大きくシフトしています。
特に、地方企業においても優秀な人材を確保することが難しくなっており、面接の場で「いかに惹きつけるか」が重要なポイントになっています。
具体的な変化として、以下の3つのポイントが挙げられました。
①地方企業の採用競争が激化
これまで都市部の企業と競合する機会が少なかった地方企業も、オンライン採用の普及により全国レベルで競争にさらされている現状があること。
②企業と候補者の関係性が変化
企業が一方的に評価する時代は終わり、候補者自身が「この会社で働きたい」と思えるかどうかが重要になっていること。
③面接官の役割の変化
従来の候補者を「見極める」面接から、「見極めつつ惹きつける」面接へと進化していること。
こうした状況の中で、面接官は単なる選考担当者ではなく、「企業の魅力を伝える存在」としての役割が求められています。
面接官が身につけるべき2つの技術

このように地方企業における採用環境の変化に応じて、面接を担当する社員も獲得すべきスキルが変わることをご理解いただきました。
ではその技術、スキルとはどのようなものなのでしょうか。
①「見極める力」から「発掘する力」へ
従来の面接では、候補者のスキルや経験を中心に評価する傾向がありました。
しかし、これからの採用では「その人の持つ可能性」や「どのような考え方をするのか(OS)」を見極めることが求められます。
OS(解釈力・思考力・行動力)を把握するために重要なのは、以下のようなポイントです。
①過去の経験の表面的な確認ではなく、思考のプロセスを深掘りする質問を行う。
②その人の価値観や意思決定の背景を探る。
③「なぜ?」を繰り返し、本人も気づいていない動機や判断基準を明らかにする。
1つずつ解説していきます。
①過去の経験の表面的な確認ではなく、思考のプロセスを深掘りする質問を行う。
たとえばロールプレイングでは、「前職でどんな業務をしていましたか?」という質問に対し、単に「プロジェクトマネージャーをしていました」といった事実確認だけで終わらせません。
「そのとき、どのようにチームをまとめていたのですか?」「どんな判断をしたときに難しさを感じましたか?」などの質問を加えます。
実際にその人がどう考え、どう動いたのかという“思考のプロセス”に迫る質問が繰り返されていました。
これにより、応募者の行動の背景にある考え方や課題解決力をより深く理解することができます。
② その人の価値観や意思決定の背景を探る
もう一つのポイントは、「この人は、なぜその選択をしたのか?」という価値観へのアプローチです。
たとえば、「なぜそのタイミングで転職を決断したのですか?」「選ぶときに一番大事にしたことは何ですか?」といった質問がありました。
これにより、スキルや経歴の裏にある“その人らしさ”が見えてきます。
ある参加者からは、「普段の面接では聞いてこなかったけど、こういう話を聞けると“どんな環境ならこの人が力を発揮できるのか”まで想像できるようになる」という声もありました。
③ 「なぜ?」を繰り返し、本人も気づいていない動機や判断基準を明らかにする
さらに、「なぜそう思ったのですか?」「それはどうしてですか?」と“なぜ?”を繰り返すことで、応募者自身も言語化していなかった深層の動機や判断基準が明らかになっていく場面も見られました。
ロールプレイの中で、「なぜそのプロジェクトに手を挙げたのか?」「なぜその場で上司に相談せず、自分で解決しようとしたのか?」というやり取りを通じて、
結果的に「自分は“信頼されたい”という気持ちが強かったのかもしれません」と応募者役の人がハッとしたように語る場面がありました。
まさに、“気づきを引き出す問い”の力を感じた瞬間でした。
②惹きつける力=「共感を生む力」
面接官が単に質問を投げかけるだけではなく、候補者が「この会社で働きたい」と思えるような面接を行うことが、採用成功のカギになると考えています。
候補者を惹きつけるためには、以下のポイントが重要です。
①アクティブリスニングを実践する(相槌・うなずき・要約)
②候補者の話に興味を持ち、共感を示す
③企業のビジョンやカルチャーを、自分の言葉で伝える
候補者との対話を大切にしながら、企業の魅力を効果的に伝えることが求められます。
参加者の感想やフィードバック

研修後のアンケートでは、多くの参加者から「視点が大きく変わった」「実践的な学びが多かった」との声が寄せられました。
面接に対する考え方が変わった
「今まではスキルや経験を重視していたが、OSを見極めることの重要性を実感した」
「候補者の話を深掘りするための質問の仕方が参考になった」
面接官の役割を再認識
「面接は単なる選考の場ではなく、候補者との対話を通じて企業の魅力を伝える場だと理解できた」
「候補者の自己肯定感を高めることで、面接の質が向上することを実感した」
今後のトレーニングへの期待
(1) 継続的なトレーニングの実施
「面接のスキルは場数を踏むことが重要なので、継続的な面接トレーニングの機会がほしい」
「もっとロールプレイを増やし、実際に質問の仕方を変えてみる実践型研修をやりたい」
「面接のポイントを言語化し、解説する時間があるとより理解が深まりそう」
(2) 面接官のスキルを広げるための研修
「管理職やリーダー向けにも同様の研修を実施すると、組織全体の採用力が向上すると思う」
「部下のキャリア選択を支援するためのコーチングスキルを学ぶ研修があれば、社内の人材育成にも役立ちそう」
「自己開示の仕方を学ぶトレーニングがあると、候補者との信頼関係をより早く築けると思う」
(3) 面接の実践に役立つ具体的なスキル
「オンライン面接のコツや、対面との違いについての研修も実施してほしい」
「候補者のOS(解釈力・思考力・行動力)を見極めるための具体的な質問例をもっと知りたい」
「面接の進行の流れや、話が詰まったときのフォローの仕方について学びたい」
(4) キャリアコーチングの視点を取り入れた研修
「求職者だけでなく、社内のメンバーのキャリア支援にも役立つ内容が学べるとより実践的だと思う」
「キャリアの選択肢を広げるための対話の仕方や、面接を通じて人材の可能性を引き出す方法を知りたい」
まとめ
今回のトレーニングを通して、普段よりU・Iターン転職のサポートをしている私たちも含めて、以下の項目について改めて整理する機会となりました。
<今回のポイントまとめ>
①面接は「選別の場」ではなく、「惹きつける場」へと変化している
②候補者のOS(解釈力・思考力・行動力)を見極めることが重要
③「共感を生む面接」が、企業の採用力を左右する
また、企業と転職エージェント双方が協力し、採用候補者に対してより良い「選考体験」を提供することが重要であると確認することができました。
何より印象的だったのは、当日のロールプレイングを通じて、参加者が共に働く仲間として新たな発見や共感を得ている姿が、とても生き生きとしていたことです。
その姿こそが、再春館製薬所という企業のカルチャーを体現しているように感じましたし、ポジティブなエネルギーに満ちた選考体験を提供してくれると確信しています。
より円滑に九州の企業がU・Iターン転職者を受け入れられるための企業向けトレーニングとして、YOUTURNとして初の座組となりました。
今後も、U・Iターンを希望する方々がスムーズに転職活動を進められるよう、九州・福岡の企業と連携しながら、一緒に採用の仕組みを整えていきたいと考えています。
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