地方ベンチャーの活路はグローバルにある!世界を狙う福岡のベンチャー企業

移住転職コラム・ノウハウ
12/06/2018 更新

地方から世界を目指すベンチャーが必要なワケ

地方経済が小さいからこそ世界へ
東京のような大都市にヒト・モノ・カネの資本が一極集中する傾向はグローバルで共通で、資本が集積すればするほど資本効率が良くなり、経済的なリターンが大きくなります。

多くの大企業が東京に本社を置き、多くのスタートアップが東京で起業する理由は、首都圏の経済規模が他の地方都市よりも断然大きいからです。当然、それによって地方の人口は流出し、経済規模が縮小。その結果、一層企業の進出が減るという悪循環がうまれます。

では、課題先進国日本のフロントランナーである地方から、既存の産業を再興したり新しい産業を生み出したりするためにはどうしたらいいでしょうか?

一つの答えは、その地域のローカルな市場を相手にするのではなく、より大きな市場を相手に事業を展開するということです。日本の国内市場が今後縮小していく以上、国内だけに閉じていてもダメで、海外の市場に活路を見いだす必要があるでしょう。

【初めて検討される方必見】福岡移住の完全ガイド ▼福岡移住転職のキャリア面談やイベントの参加はこちらから。

最初からグローバル市場を狙う福岡のベンチャー企業
日本国内で最も資本が集積している東京ではあえて創業せず、福岡で創業するベンチャー企業が増えています。福岡という土地を選ぶ理由は起業家によって様々ですが、福岡で創業した以上、相対的には首都圏よりも経済規模が小さなローカルマーケットだけを相手にしていても、大きくスケールしないことは誰よりも起業家本人が理解しています。

また、地理的にも今後経済成長を遂げていくアジア諸国に近い立地ということもあり、海外を志向するベンチャー企業が多く生まれています。

既存の大企業や中小企業にはない、ベンチャー企業やスタートアップ特有の強みとして、ゼロからのスタートであるが故に、最初から海外展開を見据えた上でサービスやプロダクトを設計できることが挙げられます。

もちろん、海外のマーケットで闘うためには並ならぬ経営努力が必要になります。ですが、その市場規模に比例してリターンは大きく、リスクテイクして勝負するベンチャー企業にふさわしい領域と言えるでしょう。本稿ではそうした「福岡からグローバルに展開するベンチャー企業」を紹介していきます。

福岡のグローバルベンチャー#1

「世界の社会問題を事業で解決するソーシャルビジネス集団」株式会社ボーダレス・ジャパン

どんな事業をやってる?
株式会社ボーダレス・ジャパンは、ソーシャルビジネスで世界を変えるベンチャー企業。貧困や環境破壊、人種差別などの世界規模の社会問題をビジネスで解決するための起業家が集い、現在約20ものソーシャルビジネスを展開しています。

「ボーダレス」という社名が示すように、海外の貧困問題や、障害者問題などあらゆる垣根を超えて社会問題を解決する事業を次々と生み出しています。元々、同社は東京で創業したベンチャー企業ですが、代表の田口氏と共に多くのメンバーが福岡へ移住。

現在の従業員数は全世界で900人超。昨年度のグループ合計の売上高が43.5億円。一般的にマネタイズが難しいと認識されているソーシャルビジネスに特化している会社としては驚異的な収益力を持っています。


どんな経営者が経営している?
ボーダレス・ジャパン代表の田口氏は、福岡出身の起業家。早稲田大学を卒業後、新卒で株式会社ミスミに入社。その後25歳でボーダレス・ジャパンを創業。創業から10数年でマネタイズが難しいとされるソーシャルビジネスを数十億規模に成長させた経営手腕を持っています。

田口氏は当初、自身が立ち上げた事業から生まれる収益の一部を毎年、慈善団体などに寄付することを考えていたところ、ビジネスそのもので社会課題を解決したほうが与えられるインパクトが大きいことに気づいたとのこと。結果として現在、20以上のソーシャルビジネスを、グループの起業家たちと立ち上げてきました。


経営目標と経営課題
ボーダレス・ジャパンは社会課題を解決する社会起業家のためのプラットフォームを目指しています。ボーダレスグループの一員となって新たにビジネスを立ち上げる起業家に対して3,000万円を事業投資。起業後はあらゆるバックアップをグループ全体で行なって、垂直立ち上げを実現します。

同社は「社会起業家の数だけ解決できる社会問題がある」と考えていて、社会起業家の数を増やすことを重要課題に設定。今年は代表の田口氏自ら「ボーダレスアカデミー」という社会起業家育成事業を開始しました。「卒業後6ヶ月以内に起業したら授業料は全額返金」という想いのこもった事業です。


どんな人材が活躍できるか?
ボーダレス・ジャパンで活躍できる人材のタイプは、大きく2つ。1つは、社会起業家のためのプラットフォーム上で実現したいソーシャルビジネスを具体的に持っていること。もう1つは、ボーダレス・ジャパンの理念や展開している事業内容への共感度が高いこと。同社には20を超えるソーシャルビジネスがあるので、興味がある方は一度同社のウェブサイトをチェックしてみることをお勧めします。

■関連記事

株式会社ボーダレス・ジャパンの求人情報

福岡のグローバルベンチャー#2

「越境ECで日本の商材を海外へ拡販」ダイレクト株式会社

どんな事業をやってる?
ダイレクト株式会社は、越境EC事業を展開する福岡のベンチャー企業。越境ECとは、国境を越えて通信販売で商品の売買を行う事業のこと。ダイレクト社が提供する越境ECサイト「SAMURAI BUYER」では、海外在住のユーザーが日本国内のECサイトに出品されている商品の購入代行を依頼することができます。

人口減少に伴って将来的な国内市場の縮小が予想される中で、越境ECは海外への市場を求められるポテンシャルのある事業領域。特に同社は、海外ユーザーに人気のある日本オリジナルの商品(家電や玩具、お菓子など)データを購入履歴として集積することができるので今後の事業展開にも可能性を秘めています。

また、同社は海外のYouTuberを福岡に招いて福岡の観光名所や買い物スポットをめぐってもらうというインバウンド観光促進も行なっており、オンライン・オフライン両面での事業展開が楽しみなベンチャー企業です。


どんな経営者が経営している?
ダイレクト株式会社代表の田中氏は、IT業界でキャリアを積んだ後、友人と国内向けのEC事業で起業。国内向けのEC業界での起業でしたが、国内市場に閉塞感を感じて、中国の大手ECサイトから商品を輸入するという事業を手がけることに。

その中で、日本国内向けに商品を販売するよりも国外に向けて販売をしていくほうが成長性が高いことに気づき、SAMURAI BUYERを創業しました。

同社の越境ECサイトではアジア向けの販売も伸びています。アジアに近い福岡の立地が、アジアに向けた配送日数を短縮できるなど「福岡で行なう意義のある事業」ということで福岡を選択しました。


経営目標と経営課題
SAMURAI BUYERのビジネスモデルは、海外から同社の越境ECサイト上で商品を購入したユーザーにの購入代行手数料を課金するモデル。流通総額がスケールさせることで売上高・利益率ともに大きくしていくモデルなので、まずは流通総額を上げていくことが最優先の目標であり課題でしょう。

同社は海外のYouTuberの多くをネットワーキングしていて、とある中国のYouTuberが商品を紹介すると、多い時には500〜600個の商品が売れていくとのこと。取扱高で800万円程を1度の配信で実現するインフルエンサーマーケティングの爆発力はすさまじく、こうしたマーケティングを仕組み化して各国で展開できれば非常に伸び代のある事業になっていくと思います。


どんな人材が活躍できるか?
ダイレクト株式会社ではその事業内容に似つかわしく、8カ国の国籍のメンバーがリモートワークで働いています。同社のクレドでは「性別・人種・宗教」などについて一切区別をしてはいけないと決めていて、結果として多様な人種・国籍のメンバーが集まってくるとのこと。ダイバーシティに富んだ自由な環境で働きたい人はSAMURAI BUYERの社風にマッチするはず。

募集している職種はエンジニア。越境ECサイトの開発やUI/UXの改善を、多国籍なチームでグローバルで戦えるプロダクトにしていく経験を積むことができる会社です。

■関連記事

ダイレクト株式会社の求人情報
「越境ECプラットフォーム創業の経緯」ダイレクト株式会社田中社長

地方からグローバルを目指す意義
課題先進国日本のフロントランナーとしての地方では、東京など大都市圏に人口が流出し、地域の経済規模が縮小するという課題に直面しています。これは地方都市特有の問題ではなく、数十年後に日本全体の人口が加速度的に減少するとき、東京でも避けられない問題です。

だからこそ課題が喫緊である地方において、グローバルに打って出るベンチャー企業が生まれ、成長していくことは日本の産業にとって意義深いことだと考えています。

一方で、競争の激しいグローバル市場で資金もリソースも少ないベンチャー企業が勝ち抜いていくことは容易なことではありません。

福岡はアジアに近い立地ではありますが、それだけを頼みにして勝てるものではないでしょう。グローバルで勝ち抜くためには、確かな戦略とそれを遂行する優秀な人材が不可欠。YOUTURNでは、地方から海外を目指す人材を、東京から移住するサポートをしています。興味がある方は問い合わせをいただけると幸いです。

福岡のベンチャー企業で注目すべき6領域

【1】「地方でやるべき事業」だからおもしろい! 福岡から地方創生を実現するスタートアップ3選
【2】テクノロジーで新たな社会システムを創出する福岡のテックベンチャー
【3】次世代の「子育て・教育」の仕組みをつくる福岡のベンチャー企業
【4】人生100年時代に「医療・健康」を支えるイノベイティブな福岡発ベンチャー3選
【5】待ったなしの超高齢化社会で「介護・高齢者問題」を地方から解決する福岡のベンチャー企業
【6】地方ベンチャーの活路はグローバルにある!世界を狙う福岡のベンチャー企業(本稿)

累計の移住転職実績100名以上!
福岡専門、ハイクラス・エクゼクティブ特化
登録無料で、情報収集とキャリア面談から

著者 高尾大輔
福岡県生まれ、東福岡高校出身。北海道大学を卒業後、住宅関連のベンチャー企業での営業・新規支店立ち上げを経験後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に転職し人材紹介コンサルタントとしてのキャリアをスタート。ベンチャー・スタートアップ企業の幹部採用支援に特化したプロコミットにてコンサルタント、事業責任者を務め、2018年に独立。2021年 株式会社YOUTURN 代表取締役就任。 <受賞歴> ビズリーチ主催「ヘッドハンター・サミット」年間最優秀賞・優秀賞受賞 リクルートキャリア主催「MVA(Most Valuable Agent)」最優秀賞受賞・優秀賞受賞

この筆者の最新記事

このシリーズの他コンテンツ