未来の人材ニーズにピタリとはまった。ロールモデルとしての存在感|ホープ代表時津さんx豊田さん

移住転職後キャリアモデル
09/08/2023 更新

豊田さんは日本M&Aセンターでの15年間を経て、自治体に特化したサービスを展開する株式会社ホープへの移住転職を果たしました。

豊田さんの入社から3年が経過した今、ホープ社長の時津さんと豊田さんに、募集ポジションのない状態から採用に至った経緯や、入社後まもなくホープに起きた経営危機と豊田さんの存在、ホープが目指す今後についてお話を伺いました。

※豊田さんの具体的な転職活動については、こちらをご覧ください。

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スピーカー:
時津孝康さん(株式会社ホープ 代表取締役社長兼CEO)
豊田利恵さん(株式会社ホープ コーポレート室 広報・IR課 課長)

高尾大輔(株式会社YOUTURN 代表取締役)

豊田さんの第一印象は「価値観の定まった人」「安定した人」

左から豊田さん、時津さん

――今から3年前の2020年、豊田さんは新卒で入社後15年を過ごした日本M&Aセンターを離れ、福岡への移住転職の道を選びました。現職であるホープ社長の時津さん、YOUTURN高尾さん、まずは豊田さんの「第一印象」をお聞かせください。

高尾:豊田さんの前職の日本M&Aセンターは、今でこそ業界のトップランナーですが、豊田さんの入社当時は社員20人ほどのベンチャーでした。15年前といえば、M&A仲介というビジネス形態も現在ほど一般的ではなかった時代ですよね。まず、新卒で入社しようとは考えにくい会社です。

そこでキャリアを積み、会社がベンチャーから大企業へと成長するなかで、キャリアアップにつながるスカウトの話はいろいろとあったはずです。それでも目をそらすことなく自分の軸をしっかりと持ちながら仕事を続けていた点に、筋の通った人間性を感じました。

私がエージェントとして会った時にはすでに、「転職」だけでなく「九州・福岡に戻る」覚悟を決めていたのも大きかったですね。「前職での年収を維持しなくてもかまわない」など、豊田さんの中で価値観がしっかりと定まっていました。

豊田:当時は実家がある九州へ移住したい気持ちが強く、転職とあわせてフリーランスの道も考えていました。前職で広報やIR、数千人規模のカンファレンス運営を企画から手がけて「この会社で自分ができることはやり切った」感があったのと、40歳の節目を前に起きた父と祖父の逝去など、仕事もプライベートも転機が訪れていました。「今のままの環境で40代を過ごしていいのか?」と、人生そのものを見直していたんです。


――時津さんが豊田さんに最初に会われた時の印象はいかがでしたか。

時津:実は、高尾さんから豊田の話を聞いた当時、ホープの広報・IRのポジションに空きはありませんでした。

一方で豊田のレジュメを見て、「面白いキャリアの人だな」と興味を持ったのも確かです。急成長を遂げる会社でこれだけ長く勤めるのは、一体どういう人なんだろうと。当時会社の成長が急だったので、即戦力という意味でも興味が沸き、会ってみることにしました。
実際に話をしてみて感じたのは、「安定した人」だということです。濃淡がないというか、迎合しないけれど斜に構えるわけでもなく、ずっと一定なんですね。自分自身が感情に引っ張られるところがあるので、私は淡々とした人が大好きなんです。「この人をホープに迎えたい」と即決しました。

経営者でさえ想像のできない、まだ見ぬ未来の人材ニーズ

――ホープでは当時、広報・IRのポジションは充足していたとのこと。「ポジションの空きがない」状況にもかかわらず、なぜマッチングすることができ、時津さんへのご紹介に繋がったのでしょうか。

高尾:豊田さんを紹介する前に、時津さんと「人材について」ディスカッションをしていました。キーワードは「人材の潜在ニーズ」。経営者である時津さんご自身が想像できていない人材、つまり現組織に必要な人材の更に「先」にある人材像を知りたいというお話でした。

豊田さんは、まさに「ホープにとって、潜在的に必要な人材」だと感じたんですね。お引き合わせすることで、何かが生まれる可能性が大いにあると考えました。

福岡の企業では、広報の仕事は人事や総務が兼務することが多いものです。会社の規模がある程度大きくならないと、広報は専任にはならないんですね。一方、豊田さんからは広報・IRだけでなく、より概念を広げてホープの「カルチャーづくり」まで遂行できそうなポテンシャルを感じました。それで「時津さんのところが合うのでは?」と。

時津:ホープが大切にしていることに共感を抱くのは必要条件ですが、豊田のレイヤーやキャリアを考え、瞬時に採用を判断しました。強いて言えば、報酬面の難易度は高かったかなと。社内も豊田も納得する報酬をどう設計するか、ある程度は社長の私が決められるとは言え、もちろん社内のコンセンサスも欠かせませんから。


――入社の条件を受け取った時の印象はいかがでしたか。

豊田:「こんな条件を提示していただけるんだ」と思いました。どんなキャリアがあっても、転職者がその企業で活躍するかどうかは、入ってみなければ分かりません。企業にとっても、採用はある意味賭けなところがあると思っています。私の職種だと採用実績もなかったと思いますし、条件提示も難しかったのではと思います。私にとっては十分なものだと感じました。

地方での転職活動において、コーポレート機能である広報のポジションはそもそも少ないんです。そんな環境の中で、この職種で採用検討していただけるだけでありがたかったです。
またそれまで、いろいろと業務の幅が広くなりすぎて疲れていた部分もあって。一旦、広報の仕事に集中できる環境はまさに私の希望通りでした。

経営危機の中、全くぶれない広報・IR対応

――豊田さんのホープ入社は2020年7月。翌年、ホープは小売電気事業者として参入したエネルギー事業において、電力の仕入れ価格の高騰により債務超過に陥ります。持株会社体制に移行するも、最終的には事業子会社「ホープエナジー 」の破産手続きが取られました。

時津:広報やIR面における豊田の働きには、本当に助けられました。私も含め、社内に危機管理対応の経験者がいなかったんです。皆で協力し合い、難局にあたっていきました。当時、IRへの問い合わせが多くありましたが、私に直接連絡が来ることはなく、矢面に立つのは豊田でした。

豊田:問い合わせが急増したときは、社内でもいろんな人が心配してくれました。私も、危機管理対応はそれほど経験があるわけでもなく、皆さんと一緒に乗り越えた形です。社内のいろんな方が「大丈夫?」「対応できそう?」と声をかけてくれました。ただ、仕事は仕事です。「自分の仕事はちゃんとやる」は当たり前ですから、粛々と業務を進めていました。

積極広報でも危機管理広報でも、「会社の進むべき方向に対する発信を行う」という広報の基本的なスタンスは共通しています。IRについても、株主や投資家に向けて出せる情報を冷静に開示することに変わりはありませんでした。


――豊田さんの姿を見て、時津さんはどう感じていましたか。

時津:とても成熟した態度を貫いてくれました。会社が約80億円もの債務超過に陥っているなかで、「仕事として、私は淡々とやれますから」と言ってその通りに取り組む姿が、私たち経営層にどれだけの力や勇気を与えてくれたことか。

経験したことのないピンチに右往左往したり、感情的になったりしてもおかしくない状況で、豊田は本当にぶれないんです。「会社の方針はこう、社長の思いはこう、対して私はこう考えますがどうですか?」と、論点をずらすことなく極めて冷静に話をしてくれるので、安心感を覚えました。

転職者も転職先もハッピーになるクロージング

――転職してから、豊田さんはどのようなことを意識していましたか?

豊田:初めての転職でもありましたし、前職のバイアスを外すことに努めました。前職での常識=ホープの常識ではありません。
ホープでは、気軽に話を聞いてディスカッションを進め、チームの皆が互いに納得する形をスピード感を持って作りあげていけます。本当に楽しく仕事ができるこの環境に甘んじることなく、謙虚に自分自身をホープにアジャストしていく感覚を意識していました。


――経営危機当時は、特に経営陣とのコミュニケーションが密だったと思います。他の社内メンバーとは、どのようなコミュニケーションを取りましたか。

豊田:広報・IRとはどんな仕事なのかを、身近に感じてもらえるようにしたいと考え、人事部門に相談して広報に関する社内勉強会を開きました。普段仕事でのかかわりが少ない人たちも参加してくれて、嬉しかったですね。

時津:豊田が開催する勉強会や、全社研修での豊田の話に対する社内メンバーの満足度はとても高いんです。広報やIRって、経営上の武器として使われるものの、現場からは普段何をやっているのかが見えにくいものですよね。豊田はそのギャップを埋めようと、自発的に動いてくれました。

高尾:豊田さんは自律型ですよね。転職活動当時、豊田さんはYOUTURN以外のエージェントともコンタクトをとっていて、ホープより規模の大きな会社もご紹介を受けていました。私と福岡で面談をしたときに、「迷っている」と話をしてくれたことがあったんです。

普段、私は転職希望者から相談されると、エージェントとして思考整理に付き合ったり、アドバイスをしたりします。でも豊田さんの場合は、自分で決めることができる方だと感じていたので、私から話すことは少なかったですね。実際、豊田さんは私に話しながら、ご自身で気づき、思考を深めていく感じでした。

豊田:話を聞いてもらうことで、私自身とても楽になりました。確かに当時は他のエージェントにも登録をしていましたが、転職市場の話など、私にはあまり関係のない話をされることも多くて。ちょうど前職の仕事も聞き役に回ることが多く、感情の吐露や意思表示をあえて抑圧しないといけない状態が続いていたんです。高尾さんを相手に、少しずつ自分の考えを口に出すことで、自分の考えをまとめ、決断するところまで導いてもらえたと思います。

時津:YOUTURNさんらしいエピソードですね。他のエージェントなら、何としても自社の紹介実績を作るために誘導をかける局面です。でもYOUTURNのスタンスは、転職者も転職先もハッピーにならないと意味がない。

加えて豊田のキャラクターもよく理解していて、ここで変に誘導しても見破られてしまう。きちんと自分の心に沿って転職先を決めてもらう、真の「クロージング」だと感じました。

広報は、一番のホープファン

――豊田さんから見て、経営者としての時津さんはどういう方ですか。

豊田:思考も感情も、ありのままを見せてくれる方だと感じます。経営者は、長くやるにつれて鎧をまとい、ガードが固くなるイメージがありますが時津はむしろ逆。何を考えているかわからない方が怖いので、ありがたいですね。

時津:できるだけ、等身大の自分でありたいと思っています。2005年の創業からこれまでを振り返ると、これ以上もこれ以下もないんですね。社内のメンバーに対しては、熱意はもちろんのこと、失敗や迷いも含めて自分の思いをきちんと伝えていきたいです。


――豊田さんは、今後自分のキャリアをどのようにしていきたいと考えていますか。

豊田:入社してから3年ほどの間に、能力以上の仕事を任せてもらったと感じます。経営者の負担をどれだけ減らせるか、会社が進む道をどうサポートできるかを考えて、社内のメンバーに相談して実行していく。改めて、自分はベンチャーでの仕事が好きなんだと実感しました。

広報・IRは、自分の会社の一番のファンでもあります。効果的な情報開示の内容やタイミングについての客観性と、ファンとしての「推し活」とのバランスを取りながら仕事に全力投球したいです。

時津:社内外の両面において、豊田の功績は大きいです。IR資料ひとつとっても、高品質のアウトプットが出せており、投資家からも「わかりやすい」「フレンドリー」と評価をいただいています。社内の勉強会を開くことで、広報・IRの仕事に関心を持ち、豊田と仕事がしたいと思う人材が出てくることと思います。その種まきを能動的にしてくれてありがたいですね。

高尾:まさに、ホープにおけるロールモデルですね。


――豊田さんのご活躍を振り返って、今後のホープの採用コンセプトや、必要な人材のキーワードを教えてください。

時津:現在は、中期経営計画を改めて作り直すなど、今後のあるべき姿を定義づけしていくフェーズです。唯一決めているのは、YOUTURNさんからのご紹介の話は断らないことです。必ず会おうと。

豊田の事例ですが、あのタイミングで高尾さんは、僕が見ている景色に対して、「もしかしたら、こうかもしれない」っていう可能性を提示してくれた。人材探しのパートナーとして信頼しているんです。今後社員が増えていく中で、フェーズごとに適切な人たちを採用していきたいと思っています。そのためにも、情報発信を続け、パートナーの方たちと共に仲間集めを連合体で行い、最適な人事を図っていきたいですね。

高尾:ありがたいですね。一方でプレッシャーも感じます。真に必要かつ意味のあるマッチングを通じて、今後もホープの成長につながるお手伝いをして参ります。

<編集後記>

創業以来最大の難局を経て、新たな変革のさなかにあるホープ。「一番のホープファン」として広報・IRの守りを固める豊田さんが語る真摯なことばが印象的でした。「自治体を通じて人々に新たな価値を提供する」同社のミッションはぶれることなく、成長に向けた歩みを着実に進めています。

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著者 YOUTURN編集部
YOUTURNは、累計100名以上のハイクラス・エクゼクティブ、大都市の最前線で活躍されたビジネスパーソンの九州・福岡への移住転職を支援するエージェントです。地域特化、UIターン転職ならではフル・オーダーメイド転職支援を通じて、今世の中の求人票にはない、あなただけの求人ポジションをつくります。

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