【イベントレポート】東京では埋もれがち。福岡での経営ポジションは今しか得られないキャリア
「Fukuoka Startup Night 2023」イベントレポート
2023年12月7日、福岡のアクセラレーションプログラムであるISSIN※が主催するイベント「Fukuoka Startup Night 2023」が開催され、福岡のスタートアップ6社が東京・丸の内に集結しました。
※福岡県内に拠点を置くプレシリーズA・シリーズA未満の「スタートアップ企業」と「第二創業ベンチャー・アトツギ(家業後継者)」を対象にした『第二成長特化型アクセラレーションプログラム』
「Fukuoka Startup Night 2023」は、「福岡に興味がある方」や「福岡にゆかりのある方」の交流イベントです。福岡からは、福岡県を拠点に事業を推進するスタートアップ・転職者・県内在住者・県庁担当者が参加し、大いに盛り上がりました。
YOUTURN高尾もパネルディスカッションに登壇。福岡へIターン移住をされたお二人にお話を伺いながら、「福岡で働く、暮らす魅力とは」をテーマにトークを繰り広げました。
登壇者
倉島駿介さん(株式会社Bulls 執行役員)大学卒業後、スタートアップにて新規事業の立ち上げを担う。2021年に元同僚からの誘いにより福岡へIターンし、株式会社Bulls 執行役員に就任。
佐藤志穂さん(株式会社LX DESIGN CYO/広報・PR)青森県出身。山梨県の大学を卒業後、営業や広報として15年間東京でのキャリアを経て、2023年福岡へIターン。
高尾大輔(株式会社YOUTURN 代表取締役社長)
「Fukuoka Startup Night 2023」でYOUTURN高尾がIターン移住者と本音トーク
高尾:倉島さんは埼玉のご出身ですよね。福岡に移り住んだ経緯は?
倉島:Bullsに入るまで福岡には縁もなく、行ったこともありませんでした。新卒で東京のベンチャーに入って新規事業開発に携わり、このまま東京でのキャリアをずっと歩んでいくんだろうなと思っていました。Bullsの代表は元同僚で、もう7~8年ぐらいの付き合いなんです。
高尾:一緒にやらないかというお話が出た時、相当悩みませんでしたか?
倉島:Bullsは祖業がホテルです。ホテルに泊まりに行ったのがきっかけで、私より奥さんが福岡移住に乗り気になりまして(笑)。
高尾:これまでの実績や、今後東京で積めるであろうキャリア、これらを捨てることに対して葛藤はありませんでしたか?
倉島:東京でキャリアをユニークにするのってだいぶ難しいなと思ったんです。 2018年新卒当時、ベンチャー進出も当たり前みたいな時代でした。
起業以外で、特に20代ですごいキャリアを築きに行くっていうのは結構難しいなと。そんな時に、いきなり「福岡で役員やりませんか」と。話を聞いた瞬間、「これまで築いてきたものよりは、これから得られるものが大きいのかな」と直感的に思いました。
高尾:作ってきたものをこのまま守るよりも、全く新しいチャレンジを選んだと。よりユニークで、オリジナルの選択肢を掴みに行った訳ですよね。佐藤さんはどういうきっかけで福岡へ?
佐藤:私は青森出身で、大学が山梨なので、だんだん南下しています(笑)。15年ほど東京で働いていましたが、ご縁があって私が所属するLX DESIGNと熊本市教育委員会が連携協定を結ばせていただいたのが九州とのご縁の始まりです。
福岡は、スタートアップにとても力を入れています。また東京という大都会より首長クラス、市や県の方たちなどとの距離がとても近く、一緒に世の中をどういう風に変革していったらいいかを考えていけると思ったんですよね。1人繋がると、何人かに芋づる式に繋がって、コミュニティができるのがすごく素敵だなと思っています。
これが東京だと、階層がありすぎて、埋もれてしまう部分があるので。
高尾:佐藤さんの重点領域である広報の場合、コミュニケーションを社会と取って発信していくというのを考えると、東京だと自治体とか色んな絡みをしていこうとした時に、何度もステップを踏まなければいけないと。
佐藤:福岡市は国家戦略特区になっているんです。自分たちの伝えたいこと、実現したい世界を考えたときに、「これは近道ができそうだな」と直感的に思いました。
高尾:東京の生活やキャリアを手放して福岡に行くことに関しては、不安はありませんでしたか?
佐藤:それが全くなかったんです。弊社はフルリモート・フルフレックスで、場所を選ばずにオンラインで仕事ができます。もちろん、必要とあらば教育委員会や学校などお客様にはリアルにお会いしますし、東京だろうが福岡だろうが、変わらないなと。
「働く場所=東京」のバイアスを外す。やりたいことを追いかけたら、それが福岡だった
高尾:お二人に共通するのは、 福岡に行くことを先に目的にしておらず、「福岡に行くぞ」と決めていないことですね。仕事との出会いからキャリアの出会いがあり、きっかけがあり、福岡に行った結果、すごくいい思いをしたと。
佐藤:移住なので、エイヤでやると、考えなきゃいけないことが先行してしまって、何もできなくなっちゃうかなと。それよりも、ちょっとずつ関係性を作っていくっていうところからスタートしていって、楽しいと思ったらそこの地域に行けばいいと思いますけどね。
高尾:動きが大きければ大きいほど躊躇するし、考えなきゃいけないことも増えますからね。
佐藤:転職はライフイベントが重なって結構しんどいこともあります。なので、あまりそこを気にせずに、できるところから気楽にスタートする方が、新しい世界を見られるのではないかと。
高尾:東京でのきっかけ作りには、どんな方法があると思いますか?
倉島:やりたいことが何なのか、まずは考えるというのがいいかなと。やりたいことをベースに考えていって、それがスタートアップで実現できるのであれば、スタートアップに行く。おそらく、無意識のバイアスで「東京」以外の選択肢が浮かばないと思うので、「場所を問わず」という点だけを、意識的に念頭に置くと良さそうですね。
「今モヤモヤしてるものは何で、それを解決するものは何だっけ?」そこから入っていくと、場所なのか、やり方なのか、答えは出てくると思うんです。
高尾:「住む地域を変える」という外側から入るのではなくて、内側ですね。自分の行きたい方向、気になるもの、興味のあるものに向き合うところからスタートしてみる。
倉島:私は、「やりたいことがたまたま福岡だった」っていう感覚にすごく近いなと思っていますね。
佐藤:「誰かに会いたいから、この人に会いたいから、その地域に出向く」っていうのが、 人の原動力になるんだなと。
東京にいながら、 福岡に触れるきっかけをどれくらい作れるか。まずは、福岡に絡んでる人たちと、どれくらい会えるか。自分が本当にその地域に行ってその人に会いたいか。それが最初の接点になるんじゃないかなと思います。
「このキャリア、面白そう」軽やかな意思決定が機会を運んでくれる
高尾:最近は、福岡出身ではない方からのご相談が増えています。福岡に行った時に「魅力的な人に会えた」とか、人を基点にしている方々は多いかなと。
お二人に共通するところは、「福岡に行く」から入っていないという点に加えて、東京でやっていることよりも「福岡でのキャリアの方が面白いんじゃないか?」と気づいたので動いたという点。すごく軽やかな意思決定だなという風に感じます。
今までのものを守り抜こうとしていたら、なかなかできない決断だろうなと。地方に行っても失敗する人もいれば、東京に残っても失敗する人もいるっていう、人によって成功・失敗が様々であり、不確実なこの時代において、身の置きどころみたいのをどう考えて、何を自分で決めていけばいいのか。
倉島:長期スパンの話にあまり興味がないんです。5年後のために、 今めちゃくちゃ働く環境にはいられないなって思うタイプです。不確実な状態での意思決定において、「今がどれだけ楽しいか」は私の中では重要度が高いですね。
「この意思決定をして自分が楽しいかどうか」。先は分からないです。スタートアップも株式の環境など、3か月前と全然状況が違うみたいなことはあるあるなので。自分たちの努力だけでは変えられないことが沢山ある中で、どう頑張っていくかみたいなところは、自分が今この瞬間楽しいかどうか。この1年が楽しいかどうかを重視しています。
佐藤:私もキャリアをどう選ぶか選ばないかよりも、自分が自分らしく、かつ成長していって、学びに変換できる環境であるかどうか。自分らしくいられる場所を作れるか。それが重要かなと思います。
高尾:外部環境を捉えるというよりも、内面。自分の内面をしっかりと見て、心地よいところを選んでいくっていうイメージですね。
大多数が選ばない意思決定をして福岡に行った人を「先行者」とした時に、先行者には利益があると思っています。
多くの人が選ぶような居場所だと、倉島さんという存在が埋もれる可能性があります。倉島さんが意思決定をしたことで、福岡であれば目立つ。興味を持って、いろんな人間と繋がっていく。そうしたら、いろんな機会が生まれる。それを通じて自分も成長していける。そういうメリットを得ているんじゃないかなと思いました。
倉島:間違いないですね。頑張った分だけ、成果が得やすい環境です。100人がその意思決定をしたら、埋もれるので。埋もれるっていう外部環境に対しては、自分でコントロールできない可能性が高かったりします。
佐藤:未来は予想できないから、自分の人生を、変化も含めて楽しめるみたいなところは多分ありますよね。
例えば、口コミサイトで評価の高い店に行く安心感よりも、敢えてチャレンジをしてみて、「あ、実は美味しかったね」っていう経験って、様々なことに適用できるなと思っています。やってみたら、その分失敗もするんだけれど、それも含めて全部ギフトになる。振り返って、もう一歩先に登っていくことができるんじゃないかなと。
高尾:何かを諦めるというよりも、「挑戦」ですね。 自分の可能性を拡張する先として、その感覚で移住や転職、企業も検討できるといいのだろうと思います。
九州・福岡は新たなチャレンジのフィールド
全国の自治体の中でも、福岡はスタートアップ支援が盛んな街として有名です。2012年に「スタートアップ都市ふくおか」を宣言してから10年が経過した現在も、官民挙げて起業を支援する取り組みが続き、成長スタートアップが続々と誕生しています。
「東京の経験を活かして新たなチャレンジをしてみたい」そんな志向を持つ方にフィットするような面白い企業・事業・そして経営者たちが九州・福岡にはたくさん存在します。ほんの一部をご紹介します。
YOUTURNを通じて、2020年に株式会社スカイディスクへの移住転職を果たしたお二人。 スタートアップの成長フェーズには、守備範囲広く立ち回るキープレイヤーの存在が欠かせません。
スカイディスクCEOの内村さんとコアメンバーであるお二人に、互いの第一印象や3年前を振り返って今思うこと、今後のスカイディスクでキャリアを紡いでいくことの意義についてお話を伺いました。
豊田さんは日本M&Aセンターでの15年間を経て、自治体に特化したサービスを展開する株式会社ホープへの移住転職を果たしました。
豊田さんの入社から3年が経過した今、ホープ社長の時津さんと豊田さんに、募集ポジションのない状態から採用に至った経緯や、入社後まもなくホープに起きた経営危機と豊田さんの存在、ホープが目指す今後についてお話を伺いました。
YOUTURNを通じて2020年にFusic(フュージック)への移住転職を果たした小田さんは、福岡に本社を構える株式会社FusicにおけるIPO(新規株式公開)準備のコアメンバー。
Fusic社長の納富さんと小田さんに、IPOを見据えた採用を実施した当時の状況や小田さんがFusicを選んだ決め手、上場を経た今描くFusicの今後についてお話を伺いました。
九州・福岡への移住転職ストーリー
YOUTURNではこれまで、数多くの移住転職者の皆さんにお話を聞いてきました。どんな葛藤を経て、今に至るのか。どんな居場所を手にしているのか。リアルな声を、ぜひ参考にしてみてください。
いかがでしたでしょうか。今回は、2023年12月7日に開催された「Fukuoka Startup Night 2023」から、パネルディスカッションの模様をご紹介しました。
今後もYOUTURNブログでは、イベントレポートやYOUTURNの活動報告、移住転職者インタビューなどを通じ、最新情報を続々と発信して参ります。
「オリジナルの人生」を生きたいと願い、そのためのステップとして移住転職という選択肢が頭に浮かんでいる方。大きなテーマを前に、まずは何から手を付けたらよいか分からない方。まずは経験豊富なYOUTURNコンサルタントとのキャリア面談から始めてみませんか。