テクノロジーで新たな社会システムを創出する福岡のテックベンチャー3選

移住転職コラム・ノウハウ
11/17/2018 更新

新しいテクノロジーが地方にこそ必要なワケ

福岡で注目のベンチャー領域を紹介する特集『キャリアも生活の質も高めるなら福岡!社会課題を解決する福岡のベンチャー企業で注目すべき6領域』

第2弾は「テクノロジー」です。ネットベンチャーを始めとしたIT、情報通信産業は東京に一極集中しています。つまり、現代のイノベーションの中核を担う人材が東京の企業に勤務していて、地方にはほとんど存在しないことを意味します。

YOUTURNは、地方で課題解決に挑む人材と企業を応援するために立ち上げた事業ですが、その背景で最も大きな問題意識を抱いているのが、「テクノロジー」に携われる人材が東京に偏在しているという事実です。

課題先進国日本のフロントランナーである地方に、課題を解決する武器たる「テクノロジー」が活用できない状況ほど危機的なものはないでしょう。

なぜ、YOUTURNが「地方とテクノロジー」にこだわるのか。大きく2つの理由があります。

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テクノロジーが地方に新しい産業をつくる

インターネットがネットベンチャーを創ったように、新しいテクノロジーは産業化します。AI、IoT、ブロックチェーンの技術は、まだ大きな産業は形成していませんが、いずれ必ず一大産業を成しうるものです。産業は、技術革新が起きるたびに盛衰の明暗が分かれます。

高度経済成長期に形成された、工業製品の工場、拠点など地方産業の大きな成長は今後難しくなっていく背景もありで、地方都市が新しいテクノロジー分野のベンチャー企業を誘致する意義は大きいのです。

特に、福岡市は国家戦略特区としてスタートアップ都市を目指しています。そのため将来的な産業構造の変革起こすメガベンチャーが育つ土壌があり、ポテンシャルを秘めていると言えるでしょう。

テクノロジーで地方の伝統産業に革新を起こす

テクノロジーは新しい産業を興すだけではなく、既存産業の再生にも寄与します。まだITなどの新しいテクノロジーが浸透しておらず、合理化が進んでいない地方の既存産業としては、農業や観光、製造、流通、小売、医療・介護などが例に挙げられます。

これらの産業をテクノロジーにより再編すれば、グローバルでも勝ち抜ける競争力をつけられるはずです。地方に既に存在するアセットやノウハウが活用できる競争の仕方なので、企業体や雇用の継続性も期待できます。

福岡のテクノロジーベンチャー#1

「ブロックチェーン×エンタメで世界を目指す」株式会社グッドラックスリー

どんな事業をやってる?
株式会社グッドラックスリーは「ブロックチェーン×エンターテイメント」の領域でグローバル展開を目指すベンチャー企業。国内初のブロックチェーンゲームである「くりぷ豚」や、ブロックチェーンを活用したメディア支援システム「Lucky Me(仮称)」を展開しています。

元々、グッドラックスリーはソーシャルゲームで創業した会社で、「さわって!ぐでたま」などのヒットタイトルを手がけ、急成長。更なる成長を目指し、今年から「ブロックチェーン×エンターテイメント」領域に経営の舵をきりました。


どんな経営者が経営している?
グッドラックスリーの創業者であり代表を務める井上氏は、福岡出身の起業家です。

東京大学を卒業後にドリームインキュベーターに入社し、その後地元福岡でグッドラックスリーを創業。井上氏自身、東京からUターン起業をしているため、東京で実績のある人材への採用ニーズは高く、且つ移住に対する理解もある。

また、今年3月にDeNA社でモバゲーを立ち上げた畑村氏も取締役として参画。「ブロックチェーン×エンターテイメント」で世界を目指すための経営体制を強化しています。


経営目標と経営課題
直近の経営目標であり、課題としては、世界的にも新しい試みとなる、「ブロックチェーンゲーム」という領域でヒットタイトルを作り、マネタイズを成功させることでしょう。

同社はすでにネイティブアプリのゲームタイトルでマネタイズできているため、そのキャッシュフローと資金調達を駆使して新領域にチャレンジしているものと考えられます。

すでにゲーム領域でマネタイズの実績があるため、ブロックチェーンをベースとしたゲームにも横展開ができるでしょう。

また、それを支える営業キャッシュフローが存在していることと、同社の資金調達力を考えると、「ブロックチェーン×エンターテイメント」という世界的に新しい事業領域であったとしても、手堅い経営を遂行していくのではと予想できます。

一方で、同社の経営努力以外の要素となりますが、ブロックチェーンがどれだけ早く一般的に普及する技術になり得るか、あるいは、事業がスケールする程まで拡大し得るかはマクロ的な障壁になる可能性があります。

そのため、スケールを狙いやすいようにグローバルで勝てるコンテンツを仕込み続ける必要があるでしょう。また、マクロトレンドを正確に予測しながら、柔軟に経営戦略を見直す意思決定も必要。筆者としてはグッドラックスリーはそれが十分にできる経営チームだと考えています。


どんな人材が活躍できるか?
まずはゲーム、エンターテイメント領域で実績のあるエンジニア。特に、ブロックチェーン領域で新たな事業創造にチャレンジすることを考えているエンジニアには魅力的な環境です。

ソーシャルゲームの事業開発や運営で一定の実績を積んでいて、ブロックチェーンに理解がある、あるいはキャッチアップしたい方はまさに求められている人材だろうと思います。

また、エンジニアだけでなくデザイナー、グローバルで展開するプロダクトのマーケティングやデータアナリストも活躍できる環境です。

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「地方で自分しかできない仕事をしよう」グッドラックスリー井上社長インタビュー【前編】

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福岡のテクノロジーベンチャー#2

「企画力と開発力で福岡のテックシーンをリード」株式会社Fusic

どんな事業をやってる?
株式会社Fusicは、2003年創業の福岡の老舗ベンチャー企業。九州大学出身の納富氏と浜崎氏が立ち上げたIT企業で、主に福岡地場の企業の受託開発事業で成長してきました。

筆者が福岡で活動を始めたときに最も多くの人から「福岡のIT企業といえば」という文脈で名前があがった企業です。

近年では受託事業だけではなく自社プロダクトの開発も手掛けていたり、地銀とのアライアンス事業を行っていたりなど、経営の多角化を行なっています。

2000年代初頭から福岡のテックシーンをリードしてきた企業で技術レベルが高く、領域も多岐にわたるため、好奇心や成長意欲が旺盛なエンジニアには働きがいのある会社です。


どんな経営者が経営している?
代表の納富氏の第一印象は、絵に描いたような「九州男児のリーダー」という印象。

男気とベンチャー精神に溢れる方で、弊社の事業立ち上げ時にも期待をかけて応援して頂きました。

納富氏自身、知的好奇心が強い方。以前のインタビューでは「宇宙」の領域まで関心があるとのことで、今後の事業展開にも注目です。

東京で最前線の実績を積んだ人材の採用には積極的な方なので、移住希望者にも門戸が開かれている会社です。


経営目標と経営課題
「日本を代表する福岡の企業になる」ことが同社の経営目標。

福岡という地に根ざしていることを大切にしながらも、福岡だけにとどまらず成長を志向するという想いが込められているようです。

創業から15年間、着実に実績を積み上げてきた企業で、イグジットを志向している訳ではないため、顕在的・潜在的な経営リスクというものはなさそう。

強いてあげるとするならば、受託・自社プロダクト・アライアンスというように多角化している各事業に対してリソースを分散する状況になるため、1つ1つ確実にスケールさせていけるかが今後の成長の鍵となると思われます。


どんな人材が活躍できるか?
まず第1には「好奇心」や「成長意欲」が高い人。

同社ではテクノロジーの最新トレンドに常にキャッチアップすることを重視しているため、新しい技術分野に貪欲に取り組む方や自主的に技術習得をしていく方を求めています。

受託事業は、随時新しい事業を取り入れやすいメリットがある反面、「自分の事業」だという思い入れを持ちにくいという面もあります。一方、自社プロダクト事業は思い入れを持ちやすいが、開発開始時点の技術基盤に制約を受けやすい。

受託・自社事業のそれぞれにメリット・デメリットが存在しますが、同じ会社内で両事業が並存しているため「最新の技術を取り入れて仕事をしたい」という志向性と、「自社プロダクトを手掛けたい」という志向性が両立するというのが同社で働く面白さだろうと思います。

また、大手企業とのアライアンスも展開しているため、ベンチャー・大企業両社の特性を理解した上でプロジェクトのマネジメントができる人材も活躍できる環境になっていると思われます。

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福岡の地方創生ベンチャー#3

「テクノロジーで伝統産業を革新する!」株式会社クアンド

どんな事業をやってる?
株式会社クアンドは「地域産業をアップデートする」を事業ミッションとして北九州を拠点に事業を展開するベンチャー企業。

日本の近代化を支えた「ものづくりのまち」である北九州の既存産業を、ITを駆使して再び成長産業に生まれ変わらせるべく地場の有力企業の様々な事業領域でコンサルティングと受託開発を行なっています。

まさにテクノロジーによって既存産業を再興させる活動を行なっており、今後の活躍が期待されるベンチャー企業。提供している技術領域も、センサー・AI・AR/VRなど多岐に渡ります。

人口流出が増えており何かと課題が多い北九州エリアですが、これまで歴史的に築き上げてきた既存産業のアセットとノウハウを活かせば、テクノロジーによって飛躍する可能性は十分にありえます。


どんな経営者が経営している?
クアンド社を率いるのは、CEOの下岡氏とCTOの中野氏2名の共同代表。

下岡氏はP&G、博報堂でマーケティングやコンサルティングに従事した人物です。CTOの中野氏は日本無線やアビームコンサルティングで幅広い技術領域の経験を持つスーパーエンジニア。

下岡氏がコンサルタントとして事業会社にヒアリングを行い、守備範囲の広い中野氏がそれを技術で実現するというチームワークがうまく機能していて、すでに多くの面白いプロジェクトを並行して進行しています。


経営目標と経営課題

「地域産業をアップデートする」ことが同社のミッションであり、当面は地場の有力企業のコンサルティングと、それに伴うテクノロジーソリューションの提供が主な事業の柱。

将来的には受託事業で培ったノウハウをもとにしてスケールする事業を創っていく展開も考えられるでしょう。

CEOの下岡氏に伺うと、提供サービスへのニーズは非常に強いとのこと。進行するプロジェクトの数に応じて人員を適宜拡充していけるかが今後の事業拡大の鍵になるはずです。


どんな人材が活躍できるか?
様々な開発案件をプロジェクトベースで担当することに慣れたエンジニアは即戦力として活躍できるはずです。

また、既存産業の企業相手のクライアントワークは、一定のコミュニケーション能力を求められる傾向があるので、エンジニア以外の職種の人とのコミュニケーションも柔軟に対応できることが求められそう。

また、プロジェクトが増えればプロジェクトマネージャーの採用も必要になるでしょう。

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クアンドのホームページ

テクノロジーが地方産業に果たす役割

インターネットが普及して、場所に関係なく仕事ができるようになった今日でも、産業の形成に地理的制約が及ぶことに変わりありません。

ITベンチャーなど情報通信産業は東京に集中していて、伝統的な産業の多くは地方に存在し続けています。

地方から大都市圏に人口が流入する傾向はグローバル規模で進んでおり、誰かが能動的にアクションを取らない限り、新しいテクノロジー領域の産業を地方で興ったり、既存の産業にテクノロジーが持ち込まれることもないでしょう。

東京でテクノロジー産業に従事した地方創生に志がある方は、飛び込むのが早ければ早いほど地域経済の発展に貢献できる、希少性の高い存在になれるはずです。

YOUTURNは時代の流れを自ら進んで創りにいく人材が地方企業で活躍できるよう応援する人材エージェントです。関心を持たれた方は、ぜひ問い合わせを頂けると幸いです。

福岡のベンチャー企業で注目すべき6領域

【1】「地方でやるべき事業」だからおもしろい! 福岡から地方創生を実現するスタートアップ3選

【2】テクノロジーで新たな社会システムを創出する福岡のテックベンチャー(本稿)

【3】次世代の「子育て・教育」の仕組みをつくる福岡のベンチャー企業

【4】人生100年時代に「医療・健康」を支えるイノベイティブな福岡発ベンチャー3選

【5】待ったなしの超高齢化社会で「介護・高齢者問題」を地方から解決する福岡のベンチャー企業

【6】地方ベンチャーの活路はグローバルにある!世界を狙う福岡のベンチャー企業

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著者 高尾大輔
福岡県生まれ、東福岡高校出身。北海道大学を卒業後、住宅関連のベンチャー企業での営業・新規支店立ち上げを経験後、リクルートエージェント(現リクルートキャリア)に転職し人材紹介コンサルタントとしてのキャリアをスタート。ベンチャー・スタートアップ企業の幹部採用支援に特化したプロコミットにてコンサルタント、事業責任者を務め、2018年に独立。2021年 株式会社YOUTURN 代表取締役就任。 <受賞歴> ビズリーチ主催「ヘッドハンター・サミット」年間最優秀賞・優秀賞受賞 リクルートキャリア主催「MVA(Most Valuable Agent)」最優秀賞受賞・優秀賞受賞

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